「彼女が誘ったとか」セカンドレイプが多い理由とは?学校内性暴力を描いた作者と考える<漫画>

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性交同意年齢が13歳→16歳へ

刑法は変わりつづけている。2023年には、ついに性交同意年齢が13歳から16歳に引き上げられた。

性交同意年齢とは、性行為に同意するかどうかを自分で判断できる年齢のこと。性教育が適切に行われていない日本で、13歳の子どもが大人から性行為を迫られたとき、同意・不同意をはっきり意思表示できる……という、およそ現実的でない刑法が、110年以上つづいてきた。しかも、子どもたちにはっきりアナウンスされることのないままに。


さいき「刑法の改正を審議する場でも、13歳と成人の真摯な恋愛は成り立つと主張する専門家がいたと聞いて驚きました。法の専門家や、司法の現場にいる人たちが、性被害の実態に精通しているわけではないのだと知りました。

本作の連載がはじまったのが2019年なので、中学校を舞台にしました。改正され16歳に引き上げらたあとだったら、舞台を高校にしていたと思います。16歳になるのを狙って加害してくる教師がいてもおかしくないのですから」

時効が来れば、罪に問えない

昨年の改正では、公訴時効もあらためられた。これまでは、強制性交等罪で10年、強制わいせつ罪で7年を過ぎたら、加害者を罪に問えなかった。

さいき「作中に、中学生のとき教師から性暴力を受けた円城遥(えんじょう はるか)という人物が出てきますが、彼女は26歳。最後の被害は15歳のときなので、彼女が25歳の時点で時効が成立したことになります。でもその年齢で、子どものときの体験を『あれは性被害だった』と認識するのは、とてもむずかしい」


性被害は、遥のその後の人生をとても困難なものにした。自身の被害経験と向き合えるようになった段階で、まだ相手の罪を問える可能性が残されていたら、彼女の回復は違ったものになっただろう、と思わずにはいられない。

昨年、公訴時効は不同意性交罪(旧・強制性交罪)が10年→15年に、不同意わいせつ罪(旧・強制わいせつ罪)が7年→12年に引き上げられた。18歳未満で被害を受けた場合は、18歳になるまでの年月を加算して時効をさらに遅らせる。遥の場合、33歳までは訴える選択肢が持てたことになる。

さいき「それでも、40代になってやっと『あれは性被害だった』とわかる人は少なくないといいます。公訴時効は撤廃が妥当だと思います」

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