門を開けると「不法侵入!」
ユウジさんの仕事仲間であるサイトウさん(仮名・45歳)の体験談です。
普段はほとんど荷物を届けたことのない一軒家に、ある日珍しく荷物が。社内の仲間に聞いても「あの家は荷物が届くことがないから、どんな人が住んでいるのかわからない」ということだったそうです。
「これを機に、どんな人が住んでいるのか知ろう」と思いながら配達先の一軒家に行ったところ、門にはインターホンが設置されていません。門は施錠されていなかったため、門から中に入り玄関先のインターホンを鳴らしました。すると、中から白髪の女性が険しい表情で出てきたのです。
「玄関を開けてすぐに『不法侵入だ!』と叫ばれました。荷物を届けに来ただけだと説明しても『不法侵入だ! 出ていけ!』と騒がれて、どうしようもありませんでした。すると中から50代くらいの女性が出てきて、『お母さん、やめて』となだめながら白髪の女性を奥へ連れていきましたが、僕は呆然としていました」
その後、50代くらいの女性が出てきて、サイトウさんに「独り暮らしをしていた母が認知症になってしまい、今は一緒に住んでいる」と説明をしてくれて、合点がいったそう。驚いたものの、いわゆる理不尽な“カスハラ”ではないとわかりサイトウさんは胸を撫で下ろしました。
その後、その家には荷物が届くことがないため、サイトウさんはあの母娘がどうしているのか少し気になっているのだとか。
女性配達員の恐怖体験
最後は、ユウジさんの仕事仲間の女性、カワダさん(仮名・33歳)の体験談です。
女性の配達員はあまりいない業界のため目立つ存在でしたが、もともと柔道をしていて体力もあり、男勝りな性格のためそつなく仕事をこなしていたカワダさん。
ある日、男性のお宅に荷物を届けに行くことに。その男性は20代くらいで、よくネットショッピングの荷物を届けていたため配達のたびに「お疲れさまです」「今日も暑いですね」などと話しかけてくれていたそうです。
その日もいつも通りに荷物を届けると、玄関から出てきたのは上半身裸でパンツだけ履いた男性の姿。
「最初はびっくりしましたが、暑い日だったので『そんなこともあるか』程度に思いながら荷物を渡しました。すると、グイッと近寄ってきて『ねえ、そろそろ連絡先教えてよ』『お姉さん、俺のことどう思ってるの?』とセクハラのようなことを言われました。
普段はおとなしい感じの男性だったので急に人が変わったようで驚きましたが、冷静に『次の配達があるので』と振りほどいて必死に逃げましたよ」
その後、カワダさんは上司に相談して配達担当の地区を変えてもらったそうです。ドラマやマンガでは「配達員と……」なんてシチュエーションもありますが、現実にそんなことあるわけないですよね……。
<取材・文/nami イラスト/ズズズ@zzz_illust>
【nami】
3人の子をもつママライター
配信: 女子SPA!
関連記事: