「僕の確認ミスかもしれないんですけど…」大河初出演の塩野瑛久、一条天皇を演じる上で大切にしていたこと

「僕の確認ミスかもしれないんですけど…」大河初出演の塩野瑛久、一条天皇を演じる上で大切にしていたこと


キャストが発表になる前から話題を呼んでいた「一条天皇」。

道長の甥で幼くして天皇に即位、その後、世継ぎを巡る政争に巻き込まれていくという役どころです。NHK大河ドラマ「光る君へ」のメインキャストが続々と公開になる中で、「一体、誰が一条天皇を演じるのか」と期待は高まっていました。

そんな一条天皇を演じる塩野瑛久さんにお話を聞きました。

オーディションで決まった大河ドラマへの出演


大河ドラマへの出演が決まった際の気持ちについて、「どんな反応が来るんだろうな、という率直な感想と、それ以上に調べれば調べるほど素敵な一条天皇という役を演じることへのワクワク感が募っていきました」と塩野さん。

一条天皇役は、オーディションで射止めた。オーディション時、手ごたえというものはまったくなかったと言います。

「オーディションは、本当にその一瞬しかチャンスがありません。果たして制作陣がどのくらいの温度感を求めているのか、少しオーバーにしたほうがいいのか、それとももっと現実的にナチュラルにしたほうがいいのか明示されないまま、挑むんです。どのぐらいの温度感が正解だったんだろう、とモヤモヤしながら部屋をあとにすることが今までのオーディションでも多かったですし、今回も例にもれずそんな感じでした」

ただ、「僕の確認ミスかもしれないんですけど」としつつ、どういった役に決まったのか内容は聞いていなかったと言います。その後、監督を始めとした制作陣の顔合わせをした場で一条天皇役だと知り、「すごく大事な役じゃないですか! というような反応をしたのは覚えています」。

御簾の中の孤独感


物語も中盤に差し掛かっていますが、もはや塩野さん以外に今、一条天皇を演じられる人がいるのだろうか、と思えるほどにその魅力を引き出していいます。

まとう気品、聡明さ。平安の世で、帝という立場でありながらも定子(高畑充希さん)を生涯愛しぬいた純粋さ。塩野さん自身は一条天皇にどのような魅力があると考えていたのでしょうか。

「多分、貴重な心の持ち主だったんだろうな、と思っていて。その理由は、一条天皇の立場になるとわかることが多々あります。ほかの公卿たちはみな、自分の家がいかに地位を上げていくかを考えていると思うのですが、帝は一番上にいる存在です。自分の出世のために策略するだとかいったことを考えない分、より人の心や、人柄を見ていたんじゃないかな、と思うとそれも自然だったのかもしれない、という捉え方をしています」

そんな一条天皇を演じる上で軸としていたのは、やはり「人の心の距離感」でした。

「演じてみるといろんなことが見えてくるな、と思っていて。現場でシーンを重ねていくと小さな変化や「きっとこういう気持ちだったんじゃないだろうか」ということを強く感じる日々です。

御簾の存在の大きさや、公卿たちが自分の目の前に立つと本音はまったく吐き出せない、ということをわかっている一条天皇もいます。だから、本音でぶつかりあえていないという苦しさもあったり、『今はこう思っているけれど、裏では違うことを言っているんだろうな』ということも馬鹿じゃないからわかるんですよね。そういう意味での孤独感はあります。それは序盤で道隆(井浦新さん)が流行り病のことはなんとかしておくから余計なことを考えないでください、と言って、結局手を下さなかった、というトラウマみたいなものもあるんですよね。みんな自分の前では多分本音を言えないんだろうな、って。

でも、その中で、道長が自分に向き合ってくれたり、少しずつ本音を交えていくことで、道長への信頼感や一条天皇の成長に関わってくるのかな、と思っています」

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