有村架純演じる“彼女”に中絶の過去…絶望的な涙。命を葬った後悔が迫りくる|ドラマ『海のはじまり』

有村架純演じる“彼女”に中絶の過去…絶望的な涙。命を葬った後悔が迫りくる|ドラマ『海のはじまり』

「彼女さんが一番巻き込み事故って感じよね」(朱音〈大竹しのぶ〉)


彼女さんとは弥生(有村架純)のこと。第1話を見たときやや心配だったが、有村架純さまが恋人の昔の彼女の亡霊(面影)に苦しむだけの役のわけはないのだ。

月9『海のはじまり』(フジテレビ系 月曜よる9時~)、第2話は有村演じる百瀬弥生の重い過去が明るみになる。

恋人の家に少女が。焦りを隠して場をやり過ごす、有村演じる

弥生が年下の恋人・月岡夏(目黒蓮)の部屋を訪ねると、少女・海(泉谷星奈)がいた。様々な可能性が弥生の頭のなかを瞬時に駆け巡ったことであろう。

でもさすが年上、焦りを隠し、「じゃああとで聞くよ」「大丈夫大丈夫」と流し、「お姉ちゃんの遊び相手してもらっていい?」と少女の自尊心をうまくくすぐり、その場をやり過ごす。


「お姉ちゃんが遊んであげる」とか「お姉ちゃんと遊ぼう」とかいう上目線ではなく「遊び相手してもらってもいい?」と下手に出るとはコミュニケーション能力がお高い。結果、(遊んでもらって)「癒やされた」と満足げな弥生。

やがて、夏から連絡をもらった祖母・朱音が迎えに来て海は帰っていく。ちなみに海のやけに感情に溢れた表現力豊かな黒めの割合の高い瞳は、大竹しのぶに似ている。隔世遺伝設定だろうか。

海が帰ったあとも詰問することなく平静な弥生に、夏は海が自分と昔の恋人で、先日亡くなった南雲水季(古川琴音)の子供であることを明かす。

有村架純の瞳から涙が伝って落ちるカットがとても美しかった

衝撃の事実を知らされたばかりでは混乱しているよねと思いやり、妊娠を知らされていなかったのならしょうがないと理解を示す。

年上とはいえ、弥生はこんなに包容力があっていいのか。感情を出さず、穏やかに夏の話を傾聴するばかりで、こんなふうだとどこかでストレスが溜まるのではないかと思ったけれど、そういう問題ではなくて、彼女のなかにはもっと溜めていることがあった。

会社のトイレで後輩と生理や産婦人科検診の話をする弥生。朝ドラ『虎に翼』(NHK)といい、生理をはじめとして女性特有の身体的な悩みを最近はドラマで率直に描くようになっているようだ。そのときに何か思うところがあるような表情を弥生が浮かべていた。

後日、弥生の家に夏が来て、海のことをさらに深く話す。

子供を「自分が殺した」とずっと罪悪感を抱えていたと吐露する夏。話を聞いたあと、弥生はトイレにこもって涙する。トイレの床に腰をおろせてしまうとはなんて掃除をきれいにしているのだろうか。蓋(ふた)した便座に座って泣くのだと絵にならなかったのだろうけれど。

このときのあおった有村架純の瞳から涙が伝って落ちるカットがとても美しかった。声を漏らさず必死に耐えようとしてもなお止まらない涙。

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