猫の絵本はいっぱい

甘え声で鳴いたり、いたずらをしたり、のんびりお昼寝したりと、猫の愛らしい姿としぐさはずっと見ていても飽きないものです。
近年は猫ブームだといわれています。猫を主人公とした絵本もたくさん存在します。なぜ猫の絵本は人気なのでしょうか?
身近な存在だからこそ魅力的
猫は、人間にとっては身近な動物のひとつです。モフモフの愛くるしいボディ、マイペースな性格やしぐさも相まって、深い親近感・愛着を感じさせるからこそ、人を惹きつけてやまないのでしょう。
「猫好きな子どもの笑顔が見たい」「飼える環境にないので猫を身近に感じたい」「愛猫とお別れした喪失感を埋めたい」など絵本を手にする目的は様々ですが、「癒されたい」という共通する思いもありそうです。
1・2・3歳の子どもにおすすめの猫の絵本

まだ文字が読めない子どもでも、見て聴いて楽しめるおすすめ絵本を3冊紹介します。かわいい猫の絵と心地よい言葉のリズムが、子どもの感性を豊かに育んでくれるでしょう。
さらには寝る前、外出先などで子どもをじっとさせておきたいとき、イヤイヤ期のかんしゃくを抑えたいときなど、絵本は強力なお助けツールにもなってくれます。
子どもの猫への関心を活用して、猫絵本を子育てにうまく取り入れましょう。
猫とかめのやり取りに夢中『いたずらこねこ』
初めてかめを見たときの、こねこの好奇心を抑えきれない様子が無邪気で愛らしく、つい笑みがこぼれる1冊です。
かめに気づいてそろそろと近づき、ポンとたたいてみる、かめの頭が消えたと思いびっくりして飛び上がるなど、こねこの描写がリアルで躍動感にあふれています。
こねことかめがじりじりと距離を縮めていく速度も絶妙で、「次はどうなるんだろう?」と子どもも思わず引き込まれてしまうでしょう。
読み聞かせにぴったり『とっとこ とっとこ』
ビタミンカラーのハッキリしたコントラストが目にも嬉しい絵本です。
猫だけでなく、あり・ぶた・ロボットなどが次々と登場します。「次は何が歩くのかな?」と子どもの期待を盛り上げながらページをめくりましょう。
「とっとこ とっとこ」という言葉の響き・リズムが楽しいので、読み聞かせにもぴったりです。登場する動物ごとに「とっとこ」のトーンや読むスピードを変えると、子どももノリノリになること請け合いです。
見ているだけでも楽しい『ねこだらけ』
タイトル通り、どのページも猫、猫、猫の猫づくしの絵本です。すべて異なる400匹の猫はそれぞれに特徴があり、何度でも見直したくなります。ただ眺めるだけも楽しいですが、図鑑として活用するのもよいでしょう。
シャム・マンチカンなど猫の品種、トラ・ジャガーなど猫の親戚群、コスプレ猫による世界の民族衣装などを楽しく学べ、子どもの好奇心・探求心を刺激します。
「どの猫が好き?」「エクアドルってどこ?」親子で会話も弾みそうです。
4・5歳の子どもにおすすめの猫の絵本

4・5歳になると、ある程度自分で読める子も出てきます。子どもが自分で絵本と向き合うもよし、ママが読み聞かせるのもよしです。シーンに合わせて使いわけるとよいでしょう。
また、より深くストーリーを理解できるようになるころなので、読み終わった後におもしろかったところ、この場面ではどう感じたかなどを親子でシェアすると、楽しみもさらに増えます。
チャーミングな猫たちが活躍する3冊を紹介します。
いたずらがおもしろい『ノラネコぐんだん パンこうじょう』
かなりひどいいたずらをするのに、愛嬌たっぷりでどうしても憎めない「ノラネコぐんだん」のキャラがツボにはまります。
今回はワンワンちゃんのパン工場に忍び込んで、パン作りに挑戦です。全シリーズを通じて、悪だくみが失敗するようパターン化されていますが、結末がわかっている安心感がかえっておもしろさを引き立てます。
お決まりの「ドッカーン」をワクワクして待つなど、予定調和ならではの楽しみ方ができる絵本です。お店のなかのパンの種類や値札など、細かい背景描写にも遊び心がいっぱい詰まっています。
小さな子猫が主人公『こねこのぴっち』
1954年の出版以来、半世紀以上にわたって愛され続けています。繊細なタッチで描かれるぴっちの描写・表情・しぐさに、胸がキュンとなること必至です。
優しいストーリーにも心が和みます。外の世界へ興味を持ったぴっちは、様々な動物になろうと試みますが、結局猫のままがいいという結論にたどり着きます。
家族や仲間たちの愛情・思いやりに触れることで、遠い別世界ではなく身近な幸せに改めて気づくのです。「自分は自分のままでいいんだ」と素直に思える1冊です。
英語の読み聞かせなら『Big Cat, Little Cat』
平易な英語で書かれているので、原文のまま味わいたい1冊です。シンプルな絵と文章が読む人の想像力をかきたてます。子どもの英語教材に、また英語での読み聞かせにもおすすめです。
素朴で切ないストーリーに胸を打たれ、つい涙がこぼれます。読んだ後は、子どもと一緒に命の大切さ・愛・感謝について話し合うとよいでしょう。
大人気シリーズの猫の絵本

甘えん坊やツンデレなど、猫の性格には個性があります。絵本の世界にも、実に味わい深いキャラクターとして、長年愛され続けている猫たちがいるのです。
ここでは、シリーズとしてロングセラーとなっている猫の絵本を2冊紹介します。
夜のお出かけ『ノンタンおやすみなさい』
寝るのを嫌がる、あるいは眠れない子どもが共感しやすいストーリーで、子どものベッドタイムに読み聞かせるパパ・ママが多いようです。
「ノンタンもねんねしたから、僕もねんねしなくちゃ…」子どもの気持ちに寄り添いながら、夜は寝る時間であることが自然に学べる点が人気の理由でしょう。
コロッケに飽きた猫たちは…?『11ぴきのねことあほうどり』
おとぼけな表情の「11ぴきのねこ」が繰り広げる愉快なストーリーで、親子でスカッと大笑いできます。
今回は11ぴきのねこがコロッケ屋さんを始めるお話です。絵本のなかの食べ物は、どうしてこんなにおいしそうに見えるのでしょうか?
触発されて、夕飯にコロッケをリクエストする子どももいるかもしれません。11ぴきのねこが揚げたコロッケの味を想像しながら読み進めましょう。
ママも楽しめる感動的な猫の絵本

絵本のなかには、子どもだけでなくママも十分に楽しめる作品も多く存在します。ここでは大人にこそ味わってほしい、秀逸な名作絵本を2冊紹介します。
改めて読み直すと、子ども時代に読んだときとは違った視点からのアプローチができ、絵本の奥深さに気づかされるでしょう。
何度でも読み返したいベストセラー『100万回生きたねこ』
100万回生まれ変わる間は自分しか愛せなかった猫が、やがて本物の愛を知り、愛する存在をなくすことで悲しみも知るというシンプルなストーリーです。
「愛とは何か?」「どう生きるべきか」など、永遠に正しい答えが出ない問いを投げかけられているようで、深く考えさせられます。
切なく美しい物語を、子どもと一緒に素直に味わうもよし、ひとりでじっくりと読むのもよいでしょう。
愛猫家の作家・画家の1冊『なまえのないねこ』
猫好きによる、猫好きのための作品です。猫の表情やしぐさなどの描写は猫への愛に満ちており、読者の深い共感を呼びます。
よその飼い猫たちはみんな持っているのに、自分にはないことを悲しく思い、1匹の野良猫が名前を探しに出かけます。
最後はハッピーエンドで終わりほっとするとともに、読者の心にほんわり温かな余韻が残るでしょう。
まとめ
絵本のなかで生き生きと描かれる猫の姿・表情・しぐさは、読者を幸せな気持ちで満たしてくれます。
ママと一緒に読み進めながら、子どもは小さな生き物への慈しみや思いやりの心を学ぶでしょう。また親子の絆もより深まるに違いありません。
猫好きな大人にとっても、癒されたり慰められたり、時には人生哲学を学んだりと、絵本から得るものは計り知れないはずです。かけがえのない1冊を探してみましょう。