・個々の商品で期限を確認しましょう
商品が消費者の手元に届くまでには、製造業者から流通業者や販売店を経由するのが一般的です。時間とともに品質が損なわれやすいものを扱う食品業界には、「3分の1ルール」という業界独自の慣例があり、製造業者は賞味期限までの1/3の期間内に販売業者に納品し、販売業者はさらに1/3の期間内に消費者に売り、消費者が購入した時点で賞味期限まで1/3の期間が残ることを目安としています。
引用:消費者庁「食品ロス削減に向けた取組」
この3分の1ルールは食品の廃棄を増やすとして見直しも促されています。
例えば「5年保存」と大きく書いてある防災用の缶詰でも、購入から5年もつとは限らない点には注意が必要です。
購入後は、個々の商品に記載されている賞味期限を確認したうえで、防災備蓄などの入れ替えをするようにしましょう。
開封後の賞味期限
缶詰の賞味期限は未開封の場合を前提として設定されたものです。缶詰の中身そのものには保存料などを使っていないため、開封後は日持ちしないと考えましょう。
使い切れなかった場合は保存容器などに移しかえて冷蔵庫に入れ、2~3日で食べるようにしてください。
果物缶や野菜缶は、品質を保つために缶の内部にスズを使用しています。ふたを開けたあとの缶詰内部は、スズが酸化して溶けだし、黒っぽくまたは白っぽく変色することがあります。スズは体内に入ってもそのまま排出されるので健康に問題はありませんが、食べきれなかった残りを、缶に入れたままとっておくのはやめましょう。
缶詰の賞味期限が長い理由
缶詰が保存料などを使っていないのに常温で長期保存できるのは、製造方法に理由があります。缶詰は食品を詰めたあとで、空気を抜いて密封し、缶ごと加熱殺菌をしています。加熱することで食品が腐敗する原因になる菌などの微生物が死滅するので、理論上は密封されている限り、腐ることがありません。
しかし、高温多湿な場所で保管し続けた場合などには缶が腐食して小さな穴があき、そこから空気や微生物が入って中身が腐敗する恐れがあります。缶詰の品質を維持するためにも、保管する場所に気を配りましょう。
まとめ
缶詰は、賞味期限が過ぎてもすぐに食べられなくなるわけではありません。安全係数を考慮した「食べてもよい期間の目安」と、缶の膨張など「中身の変質に注意が必要なサイン」について紹介しました。
賞味期限について詳しく知ることで、常温で長期保存のできる缶詰を有効活用し、もしもの備えとしても役立てましょう。
<執筆者プロフィル>
山見美穂子
フリーライター
岩手県釜石市生まれ。幼いころ両親から聞いた「津波てんでんこ」の場所は、高台の神社でした。
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配信: 防災ニッポン
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