当初は9割以上が子どもを亡くした親からの依頼だった
――どういった方がBee-Sの仏具を求めにいらっしゃるのでしょうか。
以前は9割がお子さんが亡くなられた方でしたが、最近は親御さんが亡くなられたお客様なども増えている印象です。弊社はペット用の商品は扱っていませんが、「ペットにも購入してもいいですか」というご連絡もいただきます。大切にされる気持ちがあれば、どなた様用のものでも構いませんとお伝えして、ご希望に合った商品をお届けしています。
――お客さんからはどんなオーダーが多いですか?
子どもの名前にちなんだ柄、生まれた季節の模様、好きなキャラクターなどに基づいたデザインのリクエストが多いですね。あとは、お洋服のリメイクや色合いの組み合わせなど、お子さんが使っていたものや個性を反映させたデザインなどもあります。
具体的には、ふわふわのレースを使ったドレス風のデザインや、宇宙柄やヒーローがテーマのデザインを加えたり、七五三や入学式用の着物をイメージとした作品を作ったりと、お客さんのニーズに応じて多彩なアイテムを提供しています。
――オーダーを受ける際に必ず聞いていることはありますか?
明確にイメージが定まっていないお客様には、最初にお好みの色について希望をお伺いします。ご希望があれは、それに合う色のサンプルを送って、その中でお気に入りのものを見つけ、段階を経てイメージを絞り込んでいく方が多いです。実際に製品を見たい方にはショールームに足を運んでいただき、お客様と数時間一緒に話しながら決めることもあります。もちろん、一度自宅に帰って考えたりする方もいます。
大切な人を亡くした人の心のケアになることも
――さまざまなお客さんがいる中で印象的なエピソードがあれば教えてください。
ショールームに来てくださるお客様の中には、自身のことについて話してくださる人もいます。以前、製品をお送りした後にお客様から感想をいただいた際、「普段は病院勤務ですが、まさか自分の子どもを見送ることになるとは思いませんでした」とお話しいただいたことがあります。
この話を聞いたとき、お金持ちであろうが、職業がどうであろうが関係ないんだなと感じました。亡くなる背景も、病気や自死など、みなさんさまざまな事情を抱えています。でも、共通しているのは大切な人を見送った経験です。その点で、みんな同じ方向を向いていることを再認識しました。
――お客さんと会話する中で、故人の方が亡くなった背景などがわかることもあるのでしょうか?
お客様からお話したくないという方もいらっしゃると思うので、私から詳細を質問することはありません。ただ話をしてくださる方には、大切な方の名前、その方の思い出やご経験についてお伺いしながら、制作を進めています。
制作に注力しすぎて、イメージと完璧にマッチしていなければ受け入れられないという方もいらっしゃるのですが、手作りにはイメージを具体的な形にすることが難しい場合もあるのです。その点はお客様にもお伝えしています。
精神的なケアを求めている方であれば、毎月開催している少人数制のお話し会もあります。そこでは、悲しみを吐き出したり、大切な人についてお話したりできますし、参加者が話したいときに気軽に寄っていただけます。
――仏具の制作・販売以外にも活動されているのですね。
ほかにはボランティア活動を行っています。具体的には、娘がお世話になった先生や看護師さんに対して直接何かをすることは難しいので、子どもの入院施設への寄付というかたちで支援をしたり、オンラインでのお話や講演会を通じて、病院や医療関係者、そして今闘病中の子どもたちやご家族にエールを送る活動をしたりしています。11月9日にもグリーフケアの講演イベントを企画しています。ご興味がありましたら、詳細をお問い合わせください。
配信: 女子SPA!