恐竜の絵本は大人気

恐竜は、今も昔も子どもの大好きなモチーフのひとつです。なかには、恐竜の名前を何十種類も暗記していたり、恐竜のフィギュアを何十体も集めたりする、熱狂的な恐竜ファンも存在します。
恐竜たちが大活躍する絵本も、やはり子どもの心をとらえて離しません。なぜ恐竜がそれほど人気なのかを考えてみましょう。
また、世代を超えて愛されている、恐竜の絵本シリーズも紹介します。
かっこいい恐竜絵本に子どもたちは夢中
子ども、特に男の子は、大きくて強いものに憧れる傾向があります。恐竜は、まさに条件に一致する「かっこいい」存在です。
太古の昔に実在しながら現在は絶滅しており、謎が多い点にもロマンをかきたてられます。大昔に存在した恐竜の生態が深く学べる図鑑は、子どもの知的好奇心を満たしてくれるでしょう。
また、悪と戦うヒーローとしての恐竜、優しい心を持つ恐竜など、自由な発想で描かれた絵本は、子どもの想像力を豊かにし、恐竜をより身近に感じさせてくれます。
子どもたちが恐竜絵本に夢中になるのは、当然といえるでしょう。
宮西達也のティラノサウルスシリーズ
恐竜を通じて、友情・親子愛・思いやりの心・信じる心などを子どもに伝えることができる、大ベストセラーのシリーズです。恐竜がユーモラスで愛嬌のあるタッチで描かれており、小さな子どもも怖がらずに読むことができます。
『おまえうまそうだな』では、お父さんに間違えらえたティラノサウルスと、アンキロサウルスの赤ちゃんの交流がテーマです。切ないエンディングについ涙がこぼれます。
『おれはティラノサウルスだ 』は、心優しいプテラノドンの子どもと、暴れん坊のティラノサウルスの友情を描きます。感謝することの大切さを学べるでしょう。
黒川みつひろの恐竜トリケラトプスシリーズ
トリケラトプスの子どもリトルホーンと、その父親や仲間たちの冒険物語です。危機を乗り越え戦う恐竜の姿を、一緒に応援したくなります。作者自身も化石採掘に出かけるほどの恐竜好きで、作品のなかにも恐竜への愛と情熱をひしひしと感じます。
たとえば『恐竜トリケラトプスとティラノサウルス―最大の敵現れるの巻』は、恐竜の人気ランキングで常にトップを競うティラノサウルスが登場します。
このシリーズはどの巻からでも読み始められるので、子どもの好きな恐竜が登場する巻から手に取ってもよいかもしれません。
・Amazon:恐竜トリケラトプスとティラノサウルス―最大の敵現れるの巻
2・3歳の幼児におすすめな恐竜の絵本

ここからは年齢別のおすすめ恐竜絵本を紹介します。まずは2・3歳児向けの絵本です。
この年ごろの子どもは、恐竜はかっこいいと思いながらも、あまりにもリアルで迫力がある描写では怖がるかもしれません。優しいタッチや、ユーモアたっぷりな絵本を選んであげましょう。
恐竜たちの優しさに感動『まいごのたまご』
登場するのはかわいらしいタッチの「怖くない恐竜」で、性格も優しい恐竜ばかりです。小さい子ども・怖いのが苦手な子どもでも安心して読めるでしょう。恐竜に興味を持ち始めた子どもの、初めての恐竜本にもぴったりです。
恐竜のたまごが山から落ちてきて、自分の親を探します。話のなかで、ティラノサウルス・ブラキオサウルスなど恐竜の名前と身体的特徴が紹介されており、自然に恐竜について学べる1冊です。
海外でうまれた1冊『きょうりゅうたちのおやすみなさい』
アメリカの絵本ですが、寝るのを嫌がる子どもに手を焼くのはどこの国でも共通しているようです。
寝る前に大暴れする子どもを恐竜にたとえ、ユーモアいっぱいに描いています。恐竜はややリアルな姿ながら、テディベアを抱っこしているなどかわいさがあり、つい笑みがこぼれます。
「もう寝なさい」の声に、駄々をこね暴れる恐竜の姿が、子どものツボにはまる1冊です。
お家で恐竜を飼いたくなる?『ぼくんちのティラノサウルス』
「恐竜を育てたい」「恐竜を飼ってみたい」そんな子どもの願望を形にした絵本です。
恐竜図鑑から転がり出たたまごがかえり、4歳のかんちゃんがティラノサウルスを育てることになります。かんちゃんと恐竜の「おにくちゃん」の絆に心が温まるとともに、色鉛筆調の優しいイラストにも癒されます。
赤ちゃんは全身に毛が生えていた、大人になると1日に60kgの肉を食べたなど、ティラノサウルスの生態についても楽しく学べる1冊です。
小学生低学年におすすめの恐竜の絵本

ここからは、小学校低学年対象の絵本です。おすすめの本を2冊紹介します。
この年齢になると、ママの読み聞かせだけでなくひとり読みする子も多くなります。子どもが読みやすく、適度な文の長さの本を選んであげるとよいでしょう。
教室が大パニックに?『きょうりゅうが学校にやってきた』
ある日「きょうりゅう」が学校に現れ、巻き起こる大騒動を描いた1冊です。
草食で小さくておとなしい恐竜なので、怖いお話ではありません。机で居眠りをしたり、テスト用紙を食べてしまったりと、ユーモアたっぷりの愛されキャラで、子どもも愛着を覚えるでしょう。
主人公のトムや子どもたちのきょうりゅうへの優しいまなざしと、戸惑うばかりで無責任な大人たちの行動が対照的です。「子ども時代の純粋な気持ちを忘れないでほしい」という作者の思いが込められているのかもしれません。
ユニークな空想の世界『きょうりゅうかぶしきがいしゃ』
恐竜が緊急郵送便を届けたり、建設現場で杭を打ったりと、「恐竜が働く会社」という発想がユニークで楽しい1冊です。恐竜たちの写真のような描写が、「現実にそういう会社があるのか」と思えるほど真に迫っています。
また、ビルの高さや適正職業など、現代のものと照らし合わせながら恐竜の特徴・生態を学べる点も素晴らしいアイデアで、恐竜たちを身近に感じることができるでしょう。
わくわくする恐竜のしかけ絵本

最後に、恐竜がテーマの楽しいしかけ絵本を2冊紹介します。ページを開くと恐竜がパッと飛び出てくるしかけ絵本は、飽きずに何度でも読み返したくなります。
フラットな絵本とは違った魅力があることに加え、ページごとのわくわく感も抜群です。誕生日やクリスマス・入学祝いなど特別な日のプレゼントにもおすすめします。
ページをめくるのが楽しい『とびだす まなべる きょうりゅう』
パッと鮮やかなカラーとかわいいイラストが目を引く、女の子や小さな子どもでも楽しめる恐竜しかけ絵本です。シャドーボックスのように、お気に入りのページを開いたまま机の上などに飾っても素敵かもしれません。
恐竜の化石、誕生について、海の恐竜、空の恐竜など、10個のテーマ別にまとめられています。ポピュラーな恐竜のほか、マイナーな恐竜や当時生息していた植物名なども入っているので、大人でも新たな発見があり楽しく学べるでしょう。
カタカナにはひらがなでルビが振ってあるので、恐竜の名前を覚えるとともにカタカナを読む練習にもなります。
迫力満点『太古の世界 恐竜時代』
細部まで凝った精密なポップアップに度肝を抜かれる立体恐竜百科です。ページをめくるたびに、リアルな恐竜が大迫力で飛び出してきます。
百科事典というだけあり、学術的な情報量も多く密度の濃い内容です。もはやアートといえる素晴らしいしかけとともに、恐竜の世界にどっぷり浸りましょう。
まとめ
大きくて強い恐竜に憧れる子どもは多いですが、絵本の世界の恐竜たちはかっこいいだけでなく、かわいかったりユーモラスだったり、親しみやすいキャラクターとして登場します。
恐竜たちがより身近に感じられることで、子どもの絵本への興味・理解も深まるでしょう。さらに絵本を通して、友情・愛情・思いやりの心・感謝の心・勇気など、大切なことを子ども自身が考える素晴らしい機会でもあります。
大好きな恐竜について楽しく学びながら、子どもの心も豊かに育める1冊を探してみましょう。