暑い夏の到来に合わせ、ウォーカープラスでは夏にぴったりのホラー漫画を特集。今回は、ネブクロ(@nebukuro41)さんがくらげバンチ(新潮社)で連載する漫画「訳アリ心霊マンション」の番外編としてSNSに掲載された短編「押し入れ」を、作者のネブクロさんのコメントとともに紹介する。
■ホラーを読んでいたはずが爆笑ギャグに飲み込まれる…!急展開にツボる
「訳アリ心霊マンション」は、心霊現象が多発するマンションのオーナーとなった主人公の「東雲薫」が、人間の代わりに魑魅魍魎の類を入居者として家賃収入を得ようとするホラー作品。霊をもろともしないバイタリティと斜め上のセールストークで入居者を獲得するコメディ要素と裏腹に、人間に害を成す悪霊の行いや、徐々に展開するストーリーは本格ホラーそのもの。番外編の「押し入れ」は、そんなギャグとホラーのエッセンスが詰まった短編だ。
いつのころからか自宅の押し入れに、人間ではない何かが潜んでいることに気づいた少年。いわゆる鍵っ子で、家でひとりの時間が長かった彼は押し入れの闇の中の存在に話しかけて遊んでいたが、徐々に不気味に感じて押し入れから遠ざかるようになった。するとある日、少年は満面の笑みを浮かべて鎖を振り回す怪物に追い回される。押し入れからのものと同じ声で「逃げちゃダメでしょ」と少年を追い詰める異形の存在を、通りかかった東雲薫が投げ縄で捕まえようとし――、というストーリー。
自室に潜む心霊現象に襲われるというホラー展開が、薫の登場で「投げ縄使いの同タイプ対決」にひっくり返るどんでん返しが爆笑を誘い、X上では8万件を超えるいいねを集めた同作。作者のネブクロさんに、作品制作の舞台裏や、連載中の本編への想いについてインタビューした。
■「ホラーが苦手な読者が読めなくなるくらい」悪霊のビフォーアフターもポイント
――最初に本作のアイデアや構想が生まれたのは、どういったところからでしたか?
【ネブクロ】小さいころから好きで怪談とかよく聞くんですけど、どうしても細かい矛盾を突っ込みたくなる性格で『気絶して目が覚めたら運よく霊が消えていた』とか『意地でも危険区域の説明をしない老人』とか、自分がホラーものを描くならほかとの差別化も含めて、そういった点を突いていこうと考えてました。
――怪異や心霊現象の恐ろしさと、それを吹き飛ばすコメディのギャップが本作の大きな魅力です。作品を描くうえでのメリハリで、特に意識されているところはありますか?
【ネブクロ】「訳アリ心霊マンション」は“ホラーコメディ”というジャンルからブレないよう意識して描いています。“ホラー漫画”じゃなく、“コメディ漫画”でもない。その2つがミックスして成り立つホラーコメディです。
――作中に登場する“訳アリ”な心霊たちは、行動のみならずその風貌もインパクト大です。キャラクターデザインで意識しているポイントはありますか?
【ネブクロ】悪霊のときはとにかく怖く、もはやホラーが苦手な読者が読めなくなるくらいのビジュアルにしようといつも思って描いていて、逆に仲間になった霊は愛嬌が生まれる程度にはかわいくなって親しまれてほしいなと思って描いています。
――3巻の表紙や作中でも、キャラクターのかわいらしさといった新たなギャップや遊び心を感じさせます。連載の重ねる中でご自身で挑戦されている点があれば教えてください。
【ネブクロ】ギャグの方向性ですかね、これまでは主人公のみが奇抜な行動をして読者を笑わしてきましたが、そろそろ作中キャラクターたちも主人公に続くようヘンテコな言動や行動ができるようにお話を回して行けたらなと思っています。お祭り騒ぎにできたら楽しそうですよね。
取材協力:ネブクロ / くらげバンチ(新潮社)
配信: Walkerplus
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