普通にしてても「怖い」「にらみつけてる」と言われることがある。それは眼瞼下垂(がんけんかすい)かも?眼瞼下垂とは、筋肉や神経の問題によって瞼が完全に開いていない状態。頭痛や肩こり、目の痛みなどのトラブルが起きることもある。今回は、現役の形成外科医の中村まさる(@MI_PRAS_Masaru)さんが「マイナー外科である形成外科をもっとみんなに知ってもらいたい」と、形成外科の視点から描く医療漫画を紹介するとともに、漫画を描くことになったきっかけやシリーズ全体の話を聞いた。
■普通にしてても「怖い」といわれ、笑うと「にたぁ~」と可愛くないのはまぶたが重いせい?
普通にしているのに「怒ってる」「にらみつけてる」と言われてしまう、ゆっこ。「顔や表情は変えられないのに…」と悩んでいるところに「その目、治せるぞ!」と、祖父が登場。形成外科に相談に行く。そこで「眼瞼下垂」と診断された2人。眼瞼下垂とは、筋肉や神経の問題によって瞼が完全に開いていない状態を指す。場合によっては、保険適用の手術を受けられることもあるそうだ。
2人はそれぞれ違う方法で治療を開始。手術の方法から術後の過ごし方まで細かく描かれており、結果「肩こりや頭痛が減った」という祖父と「まぶたが軽くなった」「目の奥の痛みがなくなった」というゆっこ。眼瞼下垂によって起こるトラブルも解消した。
■「形成外科で治せる病気についてを知ってもらいたい!」と独学で漫画を描き始めた
――中村さんは現役の形成外科医でいらっしゃいますが、形成外科漫画を描き始めたきっかけを教えてください。
自分自身医者になる直前まで「形成外科とはなんだ?」「どんな病気を治せるんだ?」ということを知らなかったので、こういったことがより広く広まれば治療機会を広められるのではないかと思い「形成外科紹介漫画」を作ってみよう!と思ったのがきっかけです。
――イラスト、漫画は独学ですか?影響を受けている漫画などはありますか?
独学です!医学にあまり興味が持てず、大学5年生の時に「漫画家になるか!」と思いつきで漫画を描き出したことがきっかけでした。当時、福満しげゆき先生の「僕の小規模な生活」に感銘を受けてエッセイ漫画を「自分でも描いてみたいな」と思い、医学生のエッセイ漫画を書いてモーニングに持ち込みしたりもしました。無事(?)、その後形成外科にめぐり逢い、医学方面への興味が復活したので形成外科医になりました。
――「デキモンを手術で取って治す外科のお話」が7.7万のいいねがつきました。反響について、いかがでしょうか?
とにかく驚きました。くわえて、漫画一つの投稿でフォロワーが1万5000人も増えると思わず、それだけ続編への期待をしてもらっているのだと気合が入りました。「形成外科をもっと広く知ってもらいたい!」という自分の空想が少し形になったみたいで、とてもうれしいです。
――今までどのようなシリーズを作成しましたか?
これまでに、ほくろ、眼瞼下垂、デベソ(臍突出症・臍ヘルニア)、鼻骨骨折、切断指、
副耳、瘢痕・ケロイド、巻き爪・陥入爪、熱傷、皮膚移植、創傷治癒、瘢痕拘縮、漏斗胸、美容外科、粉瘤、わきが(腋臭症)・多汗症、生検、糸結びについて…などを作成しています。シリーズ序盤は漫画ではなく1枚絵でやっていたのですが、きちんと知ってもらうため、情報量を増やすためには漫画のほうがいいだろうと途中からは全編漫画で作成しています。
――漫画を通して伝えたいことは?
一般の方々に、そして医療者の間でも形成外科について広く知られていないので、形成外科の存在を、そして形成外科で治せる病気についてを知ってもらいたいです!あと…医学生、研修医の先生にも広まり形成外科人口が増えることを願ってます(笑)。
――素人では知ることのできない知識まで詳細に描かれていて読み応えがあります。中村さんが制作するうえで、気をつけていること、見どころなどはありますか?
医療情報であるため「間違いがないように」というのが一番気をつけていることです。漫画である以上、話の展開のために大仰に演出することはしばしばあるとは思いますが、そのために情報の正確さが歪まないように気をつけています。あとは疾患の紹介もしていく以上、罹患患者さんが読んで不快にならないようには気をつけていきたいです。
――今後の展開を教えてください。
来年くらいを目処に、溜まった原稿の書籍化を克誠堂出版からしていきます。X上だけではアプローチしきれない層にもどんどん形成外科とは!?を広めていきたいと思います。乞うご期待です!
取材協力:中村まさる(@MI_PRAS_Masaru)
配信: Walkerplus
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