暑い夏の到来に合わせ、ウォーカープラスでは夏にぴったりのホラー漫画を特集。今回は、深川(X:@DON_bura_CO)さんの創作作品「女3人が心霊スポットに行く話」を、作者のコメントともに紹介する。
友人三人で有名な心霊スポットへ向かうことからはじまる同作。廃墟となった「A臨海学園」には、いじめがきっかけで溺死したという生徒が化けて出るといういわくがあった。そして三人の中で、幼馴染の「フミ」と「マコ」は、子供の頃にその施設に実際に泊まったことがあった。
フミは不気味な廃墟の中を探検をしながら、以前の記憶を思い出していた。そして三人は本当に幽霊を目撃してしまうが、フミだけは幽霊とは無関係な、もう一つの個人的な恐怖に気付き――、というストーリーだ。
■怪奇現象も「人間の不気味さが引き起こす」二つの恐怖を描いた短編
読者からは「お化けよりも人間のほうがある意味怖い」「最後のオチこわ」と、心霊現象に勝るとも劣らない人間の恐ろしさをのぞかせる結末に反響があった同作。作者の深川さんはこれまでも二次創作の漫画作品を趣味で描いていたそうで、本作は「一次創作に挑戦したい」という思いの一環で描かれた作品とのこと。
本作の怖さは、心霊現象だけでなく、友人の内心や思い出の真相にも謎が残る点にもある。こうした描き方について、深川さんは「読者の方に『真相は一体何だったんだろう?』と謎に感じる部分を入れるようにしています」と狙いを話す。
「画的に怖いだけでなくて、謎が残ったほうが読後の不気味さが増すと思ってます。また、『不気味な出来事は人間の生活のすぐ隣にある』ということも混ぜ込みたかったです。読者の方がモヤモヤぞわぞわして、不安な気持ちになってくれればいいなと思って描いてます」
深川さんの一次創作作品は本作をはじめ、「佐倉と梅軒」シリーズや「結び」など、怪奇現象と人間の底知れなさが合いまった描かれ方が魅力の一つ。
こうした作風を「怪奇現象も人間の怖さも、両方描いていきたいと思っています」と話す深川さんは、「怪奇現象を引き起こす幽霊的な存在がいるとしたら、それらはもともとは人間の情念なのかなと思っています。怪奇には人間の常識が通用しない恐ろしさがありますし、逆に人間なのに人間の常識が通用しない場合も、とても恐ろしいので両方にそれぞれ違った怖さがあり、どちらももともとは人間の不気味さが引き起こすものだと思っています」と、ホラーの「怖さ」の根源が実は同じところにあると考えを教えてくれた。
取材協力:深川(@DON_bura_CO)
配信: Walkerplus
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