宇垣美里「あんまりなめんなよってこと」“店員さんに横柄な態度をとる人が大嫌い”なワケ

宇垣美里「あんまりなめんなよってこと」“店員さんに横柄な態度をとる人が大嫌い”なワケ

 元TBSアナウンサーの宇垣美里さん。大のアニメ好きで知られていますが、映画愛が深い一面も。


 そんな宇垣さんが映画『密輸 1970』についての思いを綴ります。


●作品あらすじ:1970年代半ば韓国の漁村で、巨額の金塊(きんかい)をめぐり、地元の海女(あま)たち・カリスマ密輸王・鬼の税関・野心家のチンピラたちで、海を舞台に繰り広げられるダマし合いの行方を、実際に当時の韓国の沖合で密輸犯罪が盛んに行われていたという史実に基づき描きます。

アカデミー賞候補作「モガディシュ 脱出までの14日間」のリュ・スンワン監督が、トップ女優のキム・ヘス(『国家が破産する日』)と、ミス・インターナショナル出身のヨム・ジョンア(『SKYキャッスル~上流階級の妻たち~』)のダブル主演を迎えました。

韓国で500万人以上を動員した大ヒット作を宇垣さんはどのように見たのでしょうか?

(以下、宇垣美里さんの寄稿です。)

海女たちが大活躍の海洋クライムアクション


 店員さんに横柄な態度をとる人が大嫌いだ。そういう人はだいたい第一次産業に就いている人のこともバカにするし、学歴で人を判断するし、もちろん「女子ども」なんて歯牙(しが)にもかけない。

 本当か? 本当にその人たちよりお前のほうが偉いのか? 何か勘違いしてない? つまり、あんまりなめんなよってこと。

 1970年代半ばの韓国西海岸にある小さな漁村クンチョン。素潜(すもぐ)り漁で生計をたてていた海女たちは、近くにできた化学工場の廃棄物によってアワビなどが汚染され、生きるに困って密輸品の箱を海底から引き揚げる違法な仕事に手を染めるようになる。


 史実をベースに海女たちが大活躍する海洋クライムアクションである本作。コメディ感とシリアスの塩梅が絶妙で、要所要所でかかる韓国70年代の流行曲とド派手なファッションが魅力的。

機転と度胸で修羅場を潜り抜ける女性たちの力強さ

 生命力にあふれる個性的な海女さんチームの中でも、ひときわ目を引くのがキム・ヘス演じるチュンジャ。彼女は作品ごとにまるで違った印象を与える役者だけれど、いつだって只者(ただもの)ではない貫禄があって惚れ惚れする。


 チュンジャや海女チームのリーダーであるジンスク、そして喫茶店のマダム・オップンの間に結ばれるシスターフッドがアツい。

 オップンは自分と姉貴たちの計画のため、男にしなだれかかって翻弄し、利用する最高に気持ちのいい女。いざという時には誰よりも肝が据わっていて、バカにしていたであろう男たちに強烈な一手を喰らわせる姿に思わず拍手した。

 雇われの身である海女たち、水商売で生き抜くオップン、命からがら逃げだした後にグレーな仕事に手を染めているチュンジャはどうしたって立場が弱い。化学工場による海洋汚染、ピンハネ、男たちの暴力に苦しめられながらも、機転と度胸で修羅場を潜り抜ける彼女たちの力強さといったら。

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