子育ての反面教師にもぴったり!? “人間関係”の防災ガイドに注目

ストレスの原因を知ると相手の印象が変わる?

嫌いな人がそもそも気にならなくなる?

本書の特徴は、トラブルを予防する一つの手段として、「嫌な人の印象を自分の中から変える」という方法を紹介している点です。

「(本書では)例えば意地悪ばかりしてくる人がどうしてそうなるのかという点を性格面だけでなく、子ども時代までさかのぼって想像しています。こういう子ども時代があったからこそ、大人になった今こういう問題行動が出てきている可能性がある、という背景部分を紹介しているんですね」。

「そういう部分を想像してみると、嫌な人だなと思っていた人の印象がなんだかかわいそうな人に変わったりしませんか?カテゴリーが変わるとストレスそのものが軽減されるのではないかと思うんです」と藤本さんは言います。

相手への印象や視点を変えることでトラブルを予防するだけでなく、「もしトラブルが起きても、ストレスなど自分への被害が最小限に抑えられるのではないか」という点に期待して本書を執筆したのだそう。

「嫌な人」の子ども時代は子育ての反面教師に!

嫌な人自体の印象を変えるために記載されている子ども時代の特徴を読むと、子育て中のパパ・ママはハッとする部分があるのも本書の特徴です。「子育て世代の方には職場トラブルだけでなく、子育て自体にも本書を役立てていただけると思います」と藤本さんも話します。

「例えば手柄をすごく横取りするような方、自己顕示欲が強くて人を見下すタイプの方っていると思うんですけど、ではその人がどうしてそんな大人になってしまったのかという背景に、子ども時代、勉強やスポーツで一番を取らないと親御さんが褒めてくれなかったとか、認めてくれなかったケースが多いんです。そうすると、大人になっても無意識に、大人数の中では一番を取ろうとしてしまうんですね。それは威張りたいからという前に、愛に飢えた行動の一つなんです」。

「そういったところを逆算的に読んでいただくと、子育てに役立ててもらえるかもしれない」と藤本さん。

「例えば幼稚園などでも競争では一番を取りなさいなんて外的な基準ばかりで褒めたり叱ったりしていると、そういうものにしか価値がないと子どもながらに思ってしまって、大人になってもそういうものばかりを追いかけてしまう。子ども時代というのは実はとても長い間、その人の性格に関わってくる重要な時期なので、お子さんの心に傷を残すような、悪い影響があるような言葉に注意していただけると良いかもしれません」。

親は子の上司?職場との共通点とは

また2章の「ムカムカ災害」で紹介されている「マイクロマネジメントの濃霧」は過干渉な上司を紹介したもの。「これも下手をするとパパママがわが子にやってしまいがちな行動ですよね」と藤本さんは話します。

3章の『イライラ災害』では、リーダーや上司の立場の人が部下対策のシーンで活用できる例を多く掲載。ミスが多い部下や何でも聞いてくる部下への心構えや、長話のデメリットなど、親としてドキッとする内容も多数収録されています。

「『誰かのチェック依存の塩害』のページで、部下を育てることは子育てに似ていますと書いています。自分から見たら足りないところがたくさんあるけれど、子どもたちにしてみたら精一杯ベストを尽くしているかもしれない。こちらの声のかけ方を変えるだけで結果が激変するなんてケースもありますから、ぜひ子育てにも役立ててほしいですね」。

子育て期は“朝ごはん”みたいなもの

「朝昼晩3食のご飯を食べる習慣のある人が朝ごはんを抜いたら、昼ごはんはたくさん食べたくなりますし、昼ごはんも食べられなかったら、夜ご飯はドカ食いしてしまいそうですよね。愛情も一緒で、例えば子ども時代に愛情をもらえなかったら、思春期の恋愛などで彼氏や彼女から愛情不足を埋めてもらおうとしがちですし、そこでもうまくいかなかったと感じたまま大人になると、もう朝も昼もご飯を抜いた腹ペコ状態ですから、ありとあらゆる人から愛情を受けようとしてしまうんです」

「やっぱり朝ごはんは大事ですよね」と笑う藤本さんは、「そういう意味で本書を子ども時代の愛情のかけ方の参考にしてもらうのは良い使い方かもしれない」と話してくれました。

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