指しゃぶりはチャンス
人間が体のある部位をさわりたいと思うときは、そこを整えたいときだったりします。この前提を踏まえると、「心を整えたいから指しゃぶりをする」という捉え方ができます。また、赤ちゃんの場合は、心の問題よりむしろ、体の発達のため、自ら整体をしているのかもしれません。いずれにせよ、チャンスだと思いませんか。さわりたい場所、さわってほしい場所、さわるべき場所を、赤ちゃん自ら教えてくれているのですから。そこをさわらない手はないですよね。
歯並びが悪くなったらどうする?
「指しゃぶりを放置して歯並びが悪くなったらどうするんですか?」という意見は当然出てくるでしょう。それは実は、指しゃぶりの問題ではなく、歯並びの問題なのです。問題をすり替えることなく、ひとつずつ向き合って選んでいってほしいと思っています。
以前「授乳をやめたら指しゃぶりが始まるのではないか」と、相談されたことがあります。これは断乳の問題と指しゃぶりの問題が一緒になってしまっています。まずは授乳をどうしたいのか、ということを大事に考えて、それから指しゃぶりについて考えればよいのではないでしょうか。歯並びについてもそうです。指しゃぶりの話とは別の、歯並びの問題のなかで、指しゃぶりをやめる話が出てきているのではないでしょうか。それを見据えて、一つひとつ取り組んでいけるといいですね。
やめなさいと取り上げればそれでいいの?
指しゃぶりについてのお話もゴールが見えてきました。そろそろ核心に迫っていきたいと思います。あれほど自然体で生きている子どもの、自然のままの行動をやめさせる必要があるのでしょうか。「指しゃぶりはやめなさい」と、取り上げればそれでいいのでしょうか。
特にお子さんが幼児の場合、指しゃぶりをやめさせるのに必死な親御さんは多くいます。「もう赤ちゃんじゃないんだから」と、やめさせることに注力してばかりいると疲れてしまいますよね。もしかするとそこにはお子さんからの大切なサインが隠れているかも知れません。とは言っても指しゃぶりの原因探しも大変です。ここはただお子さんの心の声に耳を傾けてみましょう。