3、事故の点数通知と免許停止・免許取消の通知は関係ある?
事故の点数通知が来ると、「免停になるのだろうか」と不安になりますよね。
実際、事故の点数通知と免許停止・免許取消の通知は、どのような関係があるのでしょうか。
(1)事故の累積点数通知と免許停止・免許取消の通知は別のもの
事故の累積点数通知と免許停止・免許取消の通知は、別ものであり、累積点数通知書が届いたからといって免許停止・免許取り消しの効力が生ずるわけではありません。
累積点数通知は、あくまで「免停処分の点数が近いこと」を知らせるためのものであり、免許停止や免許取消を知らせるためのものではないからです。
なお、免許停止・免許取消の処分は、「行政処分出頭通知書」によって通知されます。
(2)免許停止・免許取消の通知はいつ来る?
免許停止・免許取消の通知は、処分基準となる累積点数を超える違反行為をしてから数週間程度で届きます。
ただし、違反点数の付加が交通事故によるものである場合、捜査等に時間がかかるため、一定の捜査が終了するまで処理が保留され、通知までに1か月以上かかることもあります。
(3)免許停止・免許取消の通知が届いてからの流れ
事故などにより免許停止・免許取消の基準点数を超える違反点数を付加された場合でも、直ちに免許停止となるわけではありません。
では、違反行為をしてから処分を受けるまで、どのように手続きが進んでいくのでしょうか。
①通知書が届く
違反行為などにより免許の累積点数が免許停止・免許取消の基準点数に達した場合、「行政処分出頭通知書」が届きます。
この通知書には、下記のような内容が記載されています。
出頭日時
出頭場所
理由(違反行為の種類や検挙日時など)
累積点数
前歴の数
その他、注意事項など
②通知書の内容に応じて出頭または意見の聴取
行政処分出頭通知書が届いたら、通知書の内容に従い、指定の日時に指定場所へ出頭します。
指定日時に出頭できない場合は、通知書に記載されている連絡先に問い合わせることで、日時を変更してもらえます。
なお、90日以上の免許停止処分、免許取消処分の対象者には、出頭要請通知書の他に「意見の聴取通知書」も送られて来ます。
「意見の聴取」とは、処分内容が適切かどうかを確認するための手続きのことで、名前や住所、生年月日などの基本的な情報のほか、違反行為の詳細や違反行為をした理由などを聴取されます。
意見の聴取は指定日時に指定場所で行われますが、出席が難しい場合、通知書に同封されている書類に必要事項を記入し、これを郵送することでも対応できます。
③免許取消・免許停止
出頭要請通知書に従い出頭した日から、あるいは、意見の聴取通知書に従い意見の聴取に出席した日から、免許停止・免許取消処分が執行されます。
免許停止の場合は、免許停止処分者講習を受けることで免停期間を短縮することが可能です。
【講習を受けることにより短縮できる免停日数の一覧】
講習の種類
免許停止日数
成績別の短縮日数
講習時間(日数)
受講費用
優
良
可
短期講習
30日
29日
25日
20日
6時間
(1日)
11700円
中期講習
60日
30日
27日
24日
10時間
(2日)
19500円
長期講習
90日
45日
40日
35日
12時間(2日)
23400円
120日
60日
50日
40日
150日
70日
60日
50日
180日
80日
70日
60日
4、事故の点数通知と罰金は関係ある?
交通事故を起こすと、違反点数の付加だけでなく、罰金の支払いを命じられることもあります。そのため、累積点数通知書が届いたら、「罰金を払いに行かなければならないのでは?」と思われる方もいるでしょう。
では、累積点数通知と罰金は、何らかの関係があるのでしょうか。
なお、ここでいう罰金とは刑事処罰の一種で、行政処分である反則金とは異なることに注意が必要です。罰金の場合は、前科が付きますが、反則金の場合は期限までに指定された金額を納付すれば前科が付きません。
(1)事故の累積点数通知と罰金は別のもの
事故の累積点数通知と罰金の通知は、全く別のものです。
上述のように、累積点数通知はあくまで「現在の累積点数」を通知するものですので、これにより直ちに罰金を支払わなければならないというわけではありません。
(2)罰金の通知はいつ来る?
事故の運転者に対する刑事処分は、いくつもの手続きを経て確定します。
そのため、罰金の通知が来る時期は事故の態様や被害の程度によって異なりますが、概ね1か月程度で届くことが多いようです。
(3)事故を起こしてから罰金を支払うまでの流れ
事故を起こしてから罰金を支払うまでには、下記のような手続きを経る必要があります。
①現場で調書をとる
人身事故を起こした場合、まずは警察官が現場で簡単な調書を取ります。
ここでは、下記のような点について聴取・確認されます。
氏名
生年月日
住所
職業
事故を起こしたときの状況
事故を起こしてから通報するまでの時間
②逮捕・勾留されるケースも
軽微な事故の場合、よほどの事情が無い限り,現場での聴取が終わり次第、帰宅できます。
しかし、飲酒運転による交通事故や死亡事故などの重大な事故を起こした場合に、加害者が逃亡もしくは証拠を隠滅するおそれが高いと捜査機関に判断され、逮捕・勾留されることがあります。
③追加的な事情聴取(取調べ)
人身事故を起こし、現場での聴取が終わって帰宅できたとしても、後日、警察から呼び出しを受け、より詳細な事情聴取(取調べ)をされる場合があります。
事故当時の状況をより詳細に聴かれたり、生い立ちや生活歴・職歴・家族構成等についても細かく聴取されることになります。
④検察庁からの通知
警察による手続きが終わったら、次は、検察庁による手続きに移ります。
事故から2週間~1か月ほどで検察庁より「出頭要請通知書」が届きますので、指定日時に出頭しましょう。
⑤検察庁への出頭
検察庁では、検察官による事情聴取(取調べ)が行われます。
事情聴取(取調べ)では、事故当時の状況や、相手方との示談状況などについて質問されます。
⑥略式裁判
交通事故で比較的軽微な事件であると、略式裁判により量刑を決められるケースが多いです。
略式裁判とは、ドラマでよく見るような裁判が開かれずに、検察官が提出した書面のみを裁判官が審査し、簡易迅速に量刑が決められる手続きのことです。
この手続きは、「明白かつ簡易な事件」であり、「100万円以下の過料または罰金に相当する」事件である場合に限り、利用することができる手続きです。
略式裁判の利用には本人の同意が必要ですので、検察庁へ出頭した際、略式裁判を利用することに同意する旨の申述書に署名・捺印することになります。
その後、検察官が裁判所に略式裁判の請求をすると、約2週間で略式命令が発付されます。
略式命令書は、郵便受けに入らずに直接手渡しされる特別送達という郵送方法で送られてきます。
同書に記載されている罰金の金額を確認し、不服がなければ金融機関でこれを支払うことで、すべての手続きが完了します。
※場所によっては、本人を裁判所へ出頭させ、略式命令書を手渡しで交付しているところもあるようです。この場合、当日中に検察庁で支払いを済ませてしまえば、そこで手続きは終了となります。
なお、略式命令によって科せられた罰金は前科になりますので、犯罪事実に不服がある場合には、同意をせずに裁判で争う必要があります。
配信: LEGAL MALL