子どもの安全確保のために行われる児童相談所の一時保護。
この記事では、一時保護の本質から虐待の定義、児童相談所からの訪問時の対処法までを詳しく解説します。
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1、児童相談所による一時保護とは?
まずは、児童相談所による一時保護について基本的な知識を解説します。
(1)一時的に子どもと保護者を引き離すこと
一時保護とは、児童相談所の判断で子どもを一時的に保護者から引き離す措置です。児童福祉法第33条に定められています。
一時保護を受けた子どもは、基本的に自治体の一時保護所に入所し、当面の間保護者とは離れて生活します。
(2)一時保護が行われる目的
一時保護が行われる目的は、以下の2つです(児童福祉法第33条第1項)。
児童の安全を確保し適切な保護を図る
児童の心身の状況、置かれている環境などを把握する
実際には、一時保護が行われる理由として最も多いのが虐待です。保護者による虐待から子どもを守ることが、一時保護の重要な目的のひとつといえます。
(3)一時保護の必要性の判断基準
一時保護の要件は、法律上は「必要があると認めるとき」とされています。
これだけ見るとあいまいですが、「児童相談所運営方針」によると以下の場合が想定されているようです。
捨てられた、迷子、家出などで保護者や泊まる場所がない
保護者による虐待、放任
子どもの行動が自己または他人に危害を及ぼすおそれがある
子どもがひとりで街をさまよっていたり、虐待や非行の疑いがあったりすると一時保護される可能性があります。
2、児童相談所の一時保護の流れ
児童相談所による一時保護はどのように進むのか、虐待のケースを念頭に置いて流れをご紹介します。
(1)児童相談所への通告
虐待による一時保護の場合、虐待を発見した者による児童相談所への通告(児童虐待防止法第6条第1項)がきっかけになります。
通告は、警察、近隣住民、家族・親族、学校などによるものが多いです。
虐待があると確信していなくても「親の怒鳴り声が大きい」「子どもの身体にあざがあった」といった理由で通告される可能性はあります。したがって、実際には虐待は存在していないにもかかわらず、疑いをかけられてしまうケースも少なくありません。
(2)子どもや保護者との面接
通告を受けた児童相談所は、情報収集を開始します。その一環として行われるのが子どもや保護者との面接です。
虐待の事実確認や子どもの安全を確認するために職員が直接家庭を訪問し、面接が行われます。口頭での聞き取りだけでなく、観察による状況確認もなされます。
(3)必要性があれば一時保護を強行
調査を通じて必要性があると判断されれば、一時保護が実行されます。
一時保護は子どもを連れ出す重大な処分であるため、子どもや保護者の意向を確認して行われるのが原則です。
しかし、法律上、一時保護に子どもや保護者の同意は要求されていません。子どものために保護の必要性が高いと判断されば、同意なしに強行されるケースもあります。
(4)期間は原則2ヶ月
一時保護の期間は、原則として2ヶ月を超えないこととされています(児童福祉法第33条第3項)。
かつては期間の定めがありませんでしたが、子どもの人権に配慮して2ヶ月と定められました。
2ヶ月を待たずに保護者の元に戻される場合もあります。
しかし、例外的に必要性が認められれば2ヶ月を超えて保護することも可能です(同条第4項)。
延長について保護者の同意を得られなければ、家庭裁判所による承認が必要とされます(同条第5項)。
(5)期間満了後、子どもが家に戻るとは限らない
一時保護の期間が過ぎると、子どもは保護者の元に戻されるケースが多いです。
しかし、家庭の状況によっては施設への入所、里親への委託といった措置がとられる可能性もあります。
子どもと再び生活するためには、一時保護の期間中に今までの行動を冷静に振り返り、子どもを受け入れる体制を整える必要があるといえるでしょう。
配信: LEGAL MALL