映画『キングダム』に女性ファンが多い理由。心をつかむのは“人気俳優の出演”だけじゃない

映画『キングダム』に女性ファンが多い理由。心をつかむのは“人気俳優の出演”だけじゃない

7月12日の公開から3連休を含めた4日間で、興行収入22億円を突破した映画『キングダム 大将軍の帰還』。2019年から始まった劇場版『キングダム』の第4弾であり〈シリーズ最終章〉です。筆者もさっそく公開日に鑑賞して、大号泣。

実はもともと、原泰久氏の原作漫画『キングダム』の人気を知っても「歴史が苦手で、中国の歴史にも興味がない自分にはどうせ楽しめない」「春秋戦国時代とか戦闘ものとか共感できなそう」などと思っていた筆者。


しかし第1弾の映画『キングダム』でその世界に魅了され、第2弾の鑑賞後に我慢できず漫画を全巻大人買い。昔の自分を殴りたくなるほど、面白くてハマりました。

筆者のように映画から入った人からもともとの原作好きまで、女性のファンも多くもつ『キングダム』シリーズ。実際、筆者の訪れた映画館では幅広い年齢層の女性が観客の3分の1を占めており、グッズ売り場も盛況でした。登場人物にまつわる会話が盛り上がっていたグループには、つい話に入りたくなるほど!

今回は『キングダム』がどうしてここまで女性の心を掴むのか、その理由を考察してみました。

※本記事には、劇場版『キングダム』第1~3弾の内容と、第4弾「予告編」の範囲までのネタバレを含みます。

逆境に立たされた少年たちの成長を目の当たりに

舞台は紀元前の中国・秦。天下の大将軍になることを夢見る主人公・信(山﨑賢人)と、中華統一を目指す若き王でのちの始皇帝・嬴政(吉沢亮)が、敵国や政敵と戦いながら邁進していく物語です。もちろん敵国と戦争する中でもの凄い数の人間が殺し合いますが、物語の主軸は戦のみにあらず。ふたりの少年が、周囲の人たちに多くの影響を受けながら、切磋琢磨していく姿こそが本筋だと筆者は捉えています。

戦争孤児で下僕だった信。そしてもう一人の主人公・政も、王でありながら生まれながらにして敵国の人質という過酷な運命を背負い、異母弟や政敵に王の座を奪われそうになるなど、逆境に立たされています。しかし、信は持ち前の真っ直ぐな前向きさで、政は王としての自覚とカリスマ性、そして中華統一への確固たる意志をもって、それぞれの道を切り拓いていくのです。

そんなふたりが着々と力をつけて、戦闘能力だけでなく人間としても強く逞しくなっていく姿は、とても眩しい。少年期から描かれているからこそ――そこが女性の母性をくすぐるのか――ふたりの成長を目の当たりにする度、まさに感無量なのです。

漢気あふれる魅力的なキャラクターたち

魅力的な人物は、信と政だけではありません。本作には数えきれないほどのキャラクターが登場し、ファンからそれぞれに愛されています。なかでも絶対的な人気を誇るのは、今回の劇場版第4弾でも圧倒的存在感を放っていた王騎(大沢たかお)。


信にも政にも大きな影響を与える伝説の大将軍ですが、個性的すぎる見た目と「ムフフフ」「ココココ」という独特な笑い方、そして一見ふざけているかのような言動に、登場したときは度肝を抜かれました。王騎は大将軍としての戦術の巧みさ・戦力の強さだけでなく、周囲の人たちを惹きつける人間としての強さとチャーミングさを持ち合わせています。

他にも、政・信と出逢い軍師を目指す河了貂(橋本環奈)、剣術を極める暗殺一族の末裔・羌瘣(清野菜名)や飛信隊の仲間たち。軍略家として名高い秦軍総司令の昌平君(玉木宏)や、王騎軍の副官である騰(要潤)、政と同盟を結ぶ山界の王・楊端和(長澤まさみ)などなど――挙げれば本当にキリがありません。

どのキャラクターもそれぞれに“漢気”を持ち合わせています。それは、ただ強いだけではありません。キャラが抱える想いや紡いできた時間を感じさせるエピソードが巧妙に作品内で描かれているのです。その人物の背景を知り、想いに触れるからこそ、一本筋の通ったキャラの“漢気”は、女性をも魅了してしまうのです。

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