良質な実写映画化により、キャラが立体的に!
もともと大人気の原作でしたが、さらなる女性ファンを生んだのは映画化の功績も大きいでしょう。観客を一瞬にして『キングダム』の世界へ惹きこむ劇場版。俳優たちが演じるどのキャラクターも興味をそそり、戦争シーンだけでなく、人の想いが紡がれていく展開に感動。楊端和を演じた長澤まさみの脚線美と強くクールな戦いぶりにも魅せられて、筆者も一気に本作のファンとなりました。
そして映画を観てから原作漫画を読んだからこそ、一人ひとりのキャラが立体的に感じられるようになり、物語にのめり込むことができました。何より紀元前の中国、そして剣で相手と殺し合う戦争という想像しにくい世界を、リアルにイメージできます。
他の実写化と同様、原作ファンからは反対の声もあったという劇場版『キングダム』ですが、公開以降は「原作ファンも納得!」の声が多く聞かれました。それほどに映画『キングダム』は、日本映画の最高峰にいます。実写化にあたり、スタッフも役者も原作『キングダム』に惚れ込んで、全身全霊をかけて制作された本気度をひしひしと感じる作品です。
すでに72巻まで刊行されている原作ですが、映画4作品で描かれるのはわずか16巻分。丁寧に、丁寧にその物語を紡いでいます。また、山﨑賢人・吉沢亮の若手実力派両名に加え、大沢たかお・小栗旬・玉木宏など女性人気の高い俳優陣が、『キングダム』の世界へと多くの女性を誘い、そのまま引き込んでくれたことも事実としてあるでしょう。
戦でぶつかる“人間”の想いや熱さを描いている
漫画でも映画でも、『キングダム』は戦を戦としてのみ描くのではなく、そこにいる“人間”、そこにある”想い“のぶつかり合いを描いています。公開中の『キングダム 大将軍の帰還』は、シリーズ最終章と銘打たれているだけあって、“人間”も“想い”も受け止めきれないほどの熱量。冒頭から、涙なくしては観られませんでした。
戦闘シーンも圧巻ですが、やはり心を動かされるのは登場人物たちの“想い”の強さ。原作キャラたちの想いに、演者たちの想いが重なり、より強く、美しく映りました。これまで戦いから離れていた王騎がなぜ総大将として、再び戦場に戻ったのか。王騎と龐煖(吉川晃司)が交える刃の意味とは。信の大きな夢を、目標へと変えていく王騎の姿。映画館でしか愉しむことのできない、圧倒的な迫力映像で『キングダム』の世界を堪能できることは、大きな喜びです。
<文/鈴木まこと(tricle.ltd)>
【鈴木まこと】
tricle.ltd所属。雑誌編集プロダクション、広告制作会社勤務を経て、編集者/ライター/広告ディレクターとして活動。日本のドラマ・映画をこよなく愛し、年間ドラマ50本、映画30本以上を鑑賞。Twitter:@makoto12130201
配信: 女子SPA!
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