王道デコボココンビに萌える
「ゲゲゲの謎」には個性的な人物が多く登場しますが、書ききれないので、中心人物の水木とゲゲ郎に絞って魅力を紹介します。
水木は帝国血液銀行という「売血」を行う企業のサラリーマンで、戦争にも参加した兵隊上がりのとても上昇志向の強い人物です。のし上がるためなら多少の嘘をつくことも辞さない水木ですが、心身ともに戦争の傷を抱えており、どこか不安定なので目が離せません。女性の私でも「守ってあげたい」という庇護欲・母性をくすぐられて、どんどん引き込まれてしまいます。
一方の「目玉の親父」ことゲゲ郎は、人の世の常識など関係のない妖怪。自分の目的のために動き、水木を振り回しますが、子供には優しく嘘を嫌うお人好しな面もあるので、そのギャップに思わずキュンとしてしまいます。
そんな“凸凹コンビ”の関係性に多くの女性がハマってしまったのではないでしょうか。
妖怪だらけではなく、じっとりとした人の怖さ
ゲゲゲの鬼太郎と言えば、ねずみ男や猫娘、一反木綿といった個性豊かな妖怪をまず思い出しますよね。ゲゲゲの謎にも多くの妖怪が登場しますが、これまでとはちょっとテイストが変わっていたんです。今年1月に行われた「『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』真夜中のトークショー」で古賀豪監督はその意図についてコメントしていました。
「大人向けのホラーとして作るということ。そのオーダーを受けて、妖怪が出まくるホラーよりも人間同士のドロドロした怖さであればいけると思った。さらに、水木しげる先生の生誕100周年という節目でもあったので、昭和の歴史を振り返るテイストも入れ込みたかった」
あまりにも辛いストーリーから水木たちを救いたいと、本編終了後に水木とゲゲ郎で鬼太郎の育児をする“IFストーリー”を妄想する人たちも続出しました。「集団幻覚」なんて呼ばれるほど話題に。そうした妄想や本編に関する考察が、X(旧Twitter)などSNSで交わされた結果、口コミで人気が加熱していったのです。
暑い夏にひんやりする「ゲゲゲの謎」の世界。まだまだ人気の火は消えそうにありません。
<文/織田繭>
【織田 繭】
製薬会社でMRを4年間経験。「自分がやりたかったことはこの仕事なのか」と疑問に感じ、悩んだ結果、幼少期からの夢だった「文筆家」を目指すことを決意し、退職。2021年にライターに転身
配信: 女子SPA!
関連記事: