2024年7月1日、俳優の伊藤英明(48歳)が所属事務を退所し、独立することを発表した。30年近い俳優キャリアの中での決断は、どのようなものだったのか?
俳優・伊藤英明をイメージする作品は、おそらく世代なよってそれぞれ違うかもしれない。それだけにひとつの代表作によって背負うことになるイメージは強烈なものだろう。
イケメン研究をライフワークとする“イケメン・サーチャー”こと、コラムニスト・加賀谷健が、伊藤英明の事務所退所が意味するところを考える。
俳優・伊藤英明の決断
伊藤英明が所属事務所グランパパプロダクションを退所する決断した理由について考える上で、おさえておくべきことは大きくふたつ。ひとつは、現在48歳の伊藤が50歳を前にして、「今までのキャリアに自信がない」こと(Yahoo!ニュース Voiceのインタビューより)。
もうひとつは、1997年から2022年まで25年間所属したA-Teamの創業者で、俳優としての伊藤を根底から形成した小笠原明男が2018年に亡くなったこと。
「今までのキャリアに自信がない」という伊藤自身の言葉からは、“俳優イコール商品価値”としての判断をどこに置くのかが、もはや自明のことではないという正直な気持ちが伝わる。
いずれにしろ、50歳になったときの俳優・伊藤英明を想像したとき、意識的にも無意識的にもミドルエイジクライシス(中年の危機)をうっすら感じたのか……。30年近くも第一線で活躍してきたこれまでの俳優活動を踏まえれば、あまりにも切実な感覚だろう。
「海猿」以前と以後で決定づけられる俳優としてのキャリア
1993年、ジュノン・スーパーボーイ・コンテスト(第6回)で準グランプリ。1997年、『デッサン』(日本テレビ)で俳優デビューする。
伊藤の名前が国民的なものになるのは、やっぱり「海猿」シリーズ(2004~2012年)からだろうか。伊藤の長いキャリアを俯瞰したとき、一般的な認識として、この「海猿」以前と以後で区分することができる。
同シリーズは、2004年公開の映画『海猿 ウミザル』に始まり、2005年にはテレビドラマ『海猿 UMIZARU EVOLUTION』(フジテレビ)が放送された。2012年公開の『BRAVE HEARTS 海猿』の興行収入は73億円を超え、その年最大のヒット作となった。こうした成績面からも名実ともに伊藤英明を代表する作品であることは間違いない。
伊藤が演じた仙崎大輔という役柄は、画面内での骨太な魅力があるばかりか、画面外でも「海猿」以前以後でひとりの俳優のキャリアを決定づけるほど力強かった。
配信: 女子SPA!