「そう来たか」まひろが母に、その相手に震える。オリジナル設定の妙を解説|大河ドラマ『光る君へ』第27回

「そう来たか」まひろが母に、その相手に震える。オリジナル設定の妙を解説|大河ドラマ『光る君へ』第27回


石山寺で再会したまひろと道長……というシーンで2週間お預けを食らったが、その後のふたりに衝撃が走った。

サブタイトルは「宿縁の命」。

新たに生まれた命が、それぞれの状況を揺り動かす。

再会、そして……。

わー! そう来るか! と叫んでしまった、まひろ(吉高由里子)と道長(柄本佑)の関係性。

石山寺で再会したふたり。思い出話に花を咲かせ、近況を語り合う。かつての恋人たちが世間話をしているだけのはずなのに、なんなんだ、この緊張感は。きっとそれは互いに相手への気持ちがあるからだろう。


何事もなく、その場は別れたふたり。道長はもちろん、まひろも結婚したし、何か起こるはずもない、と思いきや、まひろの元へと走った道長。そして力強く抱きしめ……。こうなってしまうと、やはりどうにも気持ちは止められない。ふたりは肌を重ねる。いや、まひろは宣孝(佐々木蔵之介)と仲直りができるように、という祈るために石山寺にやってきたんじゃなかったっけ、となる。が、一番会いたかった人に会ってしまっては仕方がない。

いつも冷静な道長も、まひろのことになると情熱的である。

しかし、これが一夜の逢瀬ではすまなくなってしまう。

まひろが懐妊した。時期を計算すると、宣孝の足がまひろから遠のいていた時期にできた子だった。つまり、道長の子どもということになる。いと(信川清順)は、宣孝には隠せるところまで隠しましょう、と言うが、それができるまひろではない。

宣孝が屋敷にやってきた際、枕を並べて寝ているふたり。宣孝にまひろは別れてほしいと申し出る。

が、宣孝はまひろの子が自分の子どもではないことに気がついていた。おまけに道長の子だということも。それでも「まひろが生む子はわしの子だ」と言い、別れることを認めない。

事実、今、宣孝と別れてどうやって子どもを育てるのか、という気もする。

宣孝の器の大きさ


今回のことも、まひろを妻にしたときも、宣孝の器の大きさが際立つ。

年の功というか、これまでの経験値が違うというか。

『光る君へ』における宣孝像は、女性が好き、好いた女性はたっぷり甘やかすというイメージが個人的には強い。仕事も手を抜けるところは抜くし、楽しむところは楽しむ。でも、してはならないところにはきっちりと線を引く。損得計算もする。

まひろのことはかわいいのだと思う。でも、男のプライドみたいなものもなかなかにあったりするのではないだろうか。もっと宣孝が若かったらこうはいかなかったと思うし、まひろも打ち明けられなかったかもしれない。

ただ、見ていてなんとなく安心できてしまうのは、宣孝がまひろを悪く扱うはずがない、と知っているからだろう。それは、初回からのふたりの関係性の積み重ねによるものに違いない。

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