「生むのも育てるのも大変なの」にそれでも「楽しかった」
朱音の場合は、夏にも、そして弥生にも、対抗心のようなものを抱く。同じく血がつながっていないが、夏の恋人ということで、海に近しくなっていく弥生は、津野と朱音と同じ「外野」のはずが、「内野」になる可能性を秘めている。
帰宅した際、疎外感を抱いたことを隠し「楽しかったです」と微笑む(有村架純得意の、本心を隠して浮かべるものわかりのよさそうな微笑み)と、朱音はかちんとなって「生むのも育てるのも大変なの」と言い返す。
それでも弥生は「楽しかった」と強調してしまうから、ピリピリムードに。ものわかりよさそうだが、芯は強いのが有村架純の得意とする役である。
傷が深くなっていく弥生、これぞ有村架純の真骨頂
何も知らない朱音は、弥生が子供を生んだことも育てたこともないとマウントをとるが、生んだことも育てたこともないうえに殺してしまったという重い十字架を背負った弥生は、痛いところをつかれても、なお穏やかそうに毅然(きぜん)と対峙(たいじ)する。
そのとき、弥生のサイドの後れ毛が風にかすかに揺れているのが弥生の気持ちの現れのようだった。第3話は高野舞演出。
だがどんなに意地を張っても(図書館で母のための参考書を借りようと前向きに努力もしている)、いざというとき海は、弥生の差し出した手をスルーして夏のもとに走り、なかなか母の代わりになれないことを思い知らされる。どんどん傷が深くなっていく弥生。これぞ有村架純の真骨頂である。
まだドラマは第3話なので、どこまで傷が深くなるのか、不謹慎ながら楽しみになる(ドラマだからゆるされる嗜虐《しぎゃく》感)。でも、きっと血のつながりを超えて弥生が海と近づいていく物語が待っているはず。
配信: 女子SPA!