大竹しのぶのきついマウントセリフに、有村架純の見せた真骨頂とは?/ドラマ『海のはじまり』

大竹しのぶのきついマウントセリフに、有村架純の見せた真骨頂とは?/ドラマ『海のはじまり』

いろんなパパとママに育まれ、子供は「すくすく」育つ


海は、水季にパパがふたりいる人もいると聞いていて、夏にもパパとママがふたりずついることを認識した。いろんなパパとママがいる。

ほんとは、津野くんもおばあちゃん(朱音)もパパやママみたいなもので、たくさんパパとママがいるという話なのかなと思うがどうだろう。そうやっていろいろな人に育まれ、子供は「すくすく」育つのだ。

さて。海(sea)に行った海(娘)と夏がさらに近づいていく。夏、いつはじまるの? と聞いた海がいまや、はじまらなくていいから、ずっといてほしいと言う健気(けなげ)。父とか父でないとか関係性ではなく、一緒にいる事実だけが大切。どこからが海? べつにここからが海(父や母)というのはないのではないかという概念。

海についつい微笑んでしまう夏の自然な笑顔

写真を撮ろうとして、ここにいてというのにくっついてくる海についつい微笑んでしまう夏の自然な笑顔がよかった。ここは第1話の冒頭、水季がどこまでも行っていいよと娘を解き放つ場面と対称的だ。

第1話で「いるよ。いるから大丈夫。行きたいほうへ行きな」と水季は言うと、ゆっくり、娘のあとを、すこし距離をとりながらついていった。

近づき過ぎるとピントが合わない。ちょっと離れて、でも目は離さない、そんな愛情が家族には必要なのかもしれない。

<文/木俣冬>

【木俣冬】
フリーライター。ドラマ、映画、演劇などエンタメ作品に関するルポルタージュ、インタビュー、レビューなどを執筆。ノベライズも手がける。『ネットと朝ドラ』『みんなの朝ドラ』など著書多数、蜷川幸雄『身体的物語論』の企画構成など。Twitter:@kamitonami

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