光老化ケアがアンチエイジングに有効って本当?紫外線対策だけじゃ足りないの?光老化対策についてお伺いしました。

光老化ケアがアンチエイジングに有効って本当?紫外線対策だけじゃ足りないの?光老化対策についてお伺いしました。

光老化は抑えられる!正しいケアを

みなさんは「光老化:photo aging」という言葉を知っていますか?

日光の暴露が原因となって、皮膚の老化がさらに加速される状態のことを指す言葉です。

自身の、光にあたらないお腹や臀部の皮膚と、よく光にさらされる頬や手の甲などの皮膚を比べてみてください。

シワ・そばかす・シミなどの状況に違いはありませんか?

恐らく、日光にあたりにくい部位の方が色が均一で明るく、シミやシワなども少ないと感じられたのではないでしょうか。

もちろん、日光にあたらない部位も「自然老化:intrinsic aging(chronological aging)」と呼ばれる現象は起こります。

表皮細胞の数が減少して表皮が薄くなったり、天然保湿因子(NMF)が低下したり、コラーゲン繊維やグリコサミノグリカンの減少したりして、肌のうるおいがやハリが失われ、乾燥したりたるんだりするなどの変化は見られます。

しかし、光に当たる部位では紫外線などの影響でより多くの変化が起こることがわかっており、このような変化を光老化と呼んでいます。

自然老化と違って、私たちは光老化の影響は、さまざまな工夫をすることで、最小限にとどめることが可能なのです。

紫外線ケア以外も必要?

肌や健康のために、紫外線対策をしている方も多いと思います。

日焼け止めを塗ったり、日傘や帽子・長袖などのアイテムを使ったりして、全くケアをおこなっていないという方の方が少ないのではないでしょうか?

しかし、私たちに降り注ぐ太陽光のうち、紫外線はわずか10%に満たないほど。

波長が短くエネルギーが強いので、影響は大きいのですが、割合としてはとても少ないのです。

最も多く含まれるのが近赤外線で約40%、そして私たちが明るさを感じることができる可視光線が40%ほどになります。

これらの光には、私たちにとってどのような影響があるのでしょうか?

最大の割合を占める近赤外線や可視光の影響は?

近赤外線(NIR=Near Infrared Rays)は、地表に届く太陽光の約半分を占め、波長が長く、肌の表面や深部にまで届くことができます。

近赤外線には体を温めたり血流を促進させる効果や痛みを和らげるなどの効果が報告されており、医療機器としても利用されています。

コラーゲンやエラスチンの産生を促すなど、適度に浴びることは肌にとっても良い影響が報告される近赤外線ですが、過度に浴びてしまうことで肌の乾燥やシワ、たるみなどの原因となる可能性が報告されています(出典:World J Dermatol. Oct 2, 2012; 1(3): 30-37)。

UV対策だけでなく、NIR対策も考えたいですね。

最近は、NIRに対応した日焼け止めも販売されていますので、探してみてもいいかもしれません。

可視光線に関する研究もすすめられています。

中でもHEV:高エネルギー可視光線(420nm以下の可視光)や、太陽光からの影響はもちろん、PCやスマートフォンなどのデジタルディスプレイから発せられることが報告されているブルーライト(380~500nm)と呼ばれる、紫外線に近くエネルギーの強い光線が目の角膜や水晶体を通過し、網膜に影響を与えたり、体内時計(概日リズム)に影響を与えたりすることが分かっています(出典:Mol Vis. 2016; 22: 61–72.)。

医療機器として利用される近赤外線にはもちろん、紫外線にも浴びることによりビタミンDを生成するなど、私たちにとって重要な働きがあるように、太陽光は私たちが生きていく上で大切なものではあるのですが、過度に浴びることは避けた方が良いようです。

光老化ケアは、最も有効なアンチエイジング?

肌老化の原因の80%が光老化であるといわれるほど、大きな影響がある光老化。

光老化を防ぐために最も大切なことは、やはり光を浴び過ぎないことです。

日焼け止め、帽子、日傘、サングラスなどを用いて、対策をおこないましょう。

UVインデックスで8を超えるようなときは、可能であれば日中は屋内で過ごすなどの工夫も大切です。

日焼け止めを使用する際は、朝塗ればよいわけではありません。

何かに触れてこすれて取れてしまったり、汗などで流れてしまったりしますので、こまめな塗り直しをしましょう。

バランスの良い食事も、キレイと健康のためには重要です。

ビタミン(とくにエースと呼ばれるACE)やミネラルが不足しないよう、バランスよくさまざまな食材を摂取するようにしましょう。

通常のスキンケアも重要です。

お肌に起こる炎症をケアするもの、日焼によるシミやそばかすを防ぐものや、出来てしまったシワを改善するものなど、近年さまざまなスキンケア製品が研究されています。

自身が「心地よい」と思って使えるスキンケア製品を見つけて、やさしくケアしてくださいね。

[執筆者]

船木 彩夏

化粧品メーカー研究員

[出演情報]

2023.12.2 TBSラジオ:井上貴博 土曜日の「あ」

<資格>

・サプリメントアドバイザー

・健康管理士一般指導員

・健康管理能力検定1級

[監修]キレイ研究室編集部

関連記事:

配信元

キレイ研究室
キレイ研究室
「今よりもっと、これからもずっときれいでいるために。」をコンセプトに、化粧品開発、ヘルスケア、ネイリストなどさまざまなジャンルの専門家が、中立の立場から「キレイ」についてのコラムを発信しています。
「今よりもっと、これからもずっときれいでいるために。」をコンセプトに、化粧品開発、ヘルスケア、ネイリストなどさまざまなジャンルの専門家が、中立の立場から「キレイ」についてのコラムを発信しています。