旬や若さが亡くなったとき、過去の仕事が新たな役に
――過去の仕事が突然ネットでバズって新たなファンも増えたり、特殊な仕事ではありますよね。
釈:そうですね。特殊だと思います。でもありがたく思っています(笑)。
――特に今回の『Iké Boys イケボーイズ』では、海外ファンに届いてアメリカ映画に出ることとなり、俳優冥利に尽きるのではないでしょうか。
釈:一番うれしいことだと思います。デビューしたての若い頃は時代の流れに乗せていただき、恵まれた環境にいて、お仕事を順調にいただいていたのですが、その後のことは自分が歩いてきた証だと思うんですよね。
旬や若さがなくなったとき、自分の過去の作品がご縁となって新たな役につながっていると思うと感謝の気持ちしかありません。
「わたしじゃなければダメな仕事は一つもない」
――芸歴は20年以上となり、今は子育て中心の生活にしているそうですが、今現在の仕事のモチベーションは何でしょうか?
釈:出産・結婚する前は自分の軸が分からず、よく言う自分探しではないのですが、もっと認められたい、必要とされたいという承認欲求がとても強くて、それが仕事に向かっていたと思うんです。
わたしみたいなものがここにいていいのものか? というコンプレックスがどこかにあったんですね。だからファンの方が「釈ちゃん!」と喜んでくれることだけが、仕事のモチベーションだったと思います。
今も声援が糧になっていることはもちろん変わらないのですが、この世界に長くいて感じたことは、わたしじゃなければダメな仕事は一つもないということ。
そのときどきで必要とされて自分が一生懸命に取り組めた証が、今回のような縁をつなぐ作品として残っていくと思うのですが、そこへの未練や執着はないんです。今はもうまっさらな気持ちで、今回のエリック監督みたいにわたしとお仕事したいと言ってくださる監督がいたら、それには精一杯答えたい、それだけです。
――自分が動くことで喜んでくれる人がいれば、という動機なのですね。
釈:なので次はこういう役を演じたい、ハリウッドでデビューしたいということはまったくなくて、むしろ欲がなくなってしまったというか(笑)。これでオファーが来なかったら、わたしはそれまでの存在だということ。賞味期限が切れて必要とされていない人間だったということだと思うので、仕方がないことだと思うんです。
でもわたしじゃないとダメということはあって、家庭においての自分、子どもの母親としての自分は変わりがきかないと思うので、子どもに全力投球したいと思っているんです。
ただ、子どもだけとなってしまうと、今度は子どもに対してプレッシャーを与えてしまい、押しつけがましくなってしまうとも思います。なので子どもに自分の親が生きがいを持って働いている姿を見せることは、いいことかなと思っています。
――あくまでも今は子育てに集中する時期ということなのですね。
釈:いずれ子どもが育ち、親離れしていってひとりになったとき、仕事がなかったら何しようかと思うことはあります。そのときはそのときで、好きな山登りに没頭したり、趣味を見つければいいのかなと思っています(笑)。
配信: 女子SPA!