ザビエルの絵, 作者不明, Public domain, via Wikimedia Commons
この記事では、誰もが目にしたことがありながら実はあまりよく知らない本作品について、時代背景や作品の特徴を解説します!
宣教師・聖フランシスコ・ザビエルはどんな人?
『ゴヤで祈りを捧げる聖フランシスコ・ザビエル』, アンドレ・レイノソ, Public domain, via Wikimedia Commons
フランシスコ・ザビエル(1506-1552年)は、スペインのカトリック宣教師です。現在でもローマ・カトリック教会のなかで重要な地位を占める「イエズス会」の共同創立者でもあります。
日本ではとくに、ザビエルがポルトガル帝国の代表として日本にキリスト教を広めるために派遣されたことで知られます。鹿児島など九州を中心に宣教活動をおこない、多くの日本人のキリスト教改宗に成功しました。
ザビエルは宣教師として日本の地を踏んだ初めてのイエズス会士であり、半世紀にわたりアジアでの宣教活動はイエズス会のみでおこなわれました。2年以上日本で働いたのち、ザビエルはすでに活動の拠点があったインドに戻り、インドから中国に向かう途中で亡くなりました。
ザビエルの絵が描かれた時代背景
『Japanese Christians In Portuguese Costume』, 作者不明, Public domain, via Wikimedia Commons
ザビエルが日本で活動した2年間で、九州には多くのキリスト教徒が生まれました。しかし、活動規模が大きくなるにつれ政府や他の宗教団体からの反発が強まり、布教活動は順風満帆とは言えませんでした。キリスト教の教えが社会の秩序を乱す可能性があると、危険視されていたためです。
布教がうまくいかなかったのは、キリスト教の教えが当時の日本の宗教観にマッチしなかったことも理由の1つです。当時、国民の大半が仏教か神道を信仰していた日本では、絶対的な神の存在を受け入れづらい土壌がありました。
仏教や神道の考えのなかでは、善悪が存在する世界を基本としています。そのため、「絶対的に善良な神」が世界を作ったにもかかわらず、世の中に悪が存在することを納得させることは困難だったのでしょう。
ザビエルの活動によりキリスト教徒に改宗した人々は、政府からの迫害を受けながらもひっそりと信仰を守り続けます。有名なザビエルの絵は、17世紀前半、少なくともザビエルがこの世を去ってから数十年経ってから制作されたものです。
配信: イロハニアート