歯を支える骨量の必要性
インプラントを安全に行うには、歯を支える土台部分の骨が重要となるため、ある一定の骨量が必要になります。しかし、歯を支えている骨である歯槽骨は、歯周の病進行や抜歯などにより歯を失った場合には痩せてへこんでしまいます。
この状態では歯を支える骨量が足りていないため、インプラントを埋め込むための厚さと高さの条件を満たすことができません。骨量が足りないからとインプラント治療を諦めなければならない、と考える患者様も少なくありませんが、実は歯の骨量は増やすことができます。
骨量を増やす骨再生誘導法(GBR)
骨の厚さ、高さが足りないと判断された患者様でも、インプラント治療を受けられるように骨を増やす骨再生誘導法を利用した、骨造成手術を行うことで治療が可能です。骨再生誘導法はGBRとも呼ばれ、歯周病などの進行によって失った歯槽骨を、自家骨や人工骨を移植して再生する歯周組織再生療法の1つです。
骨再生誘導法(GBR)の骨造成手術
GBRの骨造成手術では歯が失われた部位にインプラントを埋め込み、それを支柱にして自家骨や人工骨などの骨補填剤を入れ、メンブレンと呼ばれる人工膜で覆っていきます。自分の骨を使った自家骨での骨造成を希望される場合は、まず下顎の先端の歯か下顎の奥歯の外側から骨組織を抽出していきます。骨形成を阻害する繊維芽細胞が入り込まないように歯肉を縫い合わせれば、歯槽骨の再生が始まっていき、インプラントの固定が可能です。
歯槽骨の再生
歯槽骨の再生速度には個人差があり、10カ月ほどの日数がかかる場合もありますが、半年での再生速度が一般的です。この再生期間中はインプラントと骨をしっかり結合する必要があるため、再生療法を施している部分には強い力を加えないように注意してください。
骨が再生され、インプラントの固定が確認できれば閉じていた歯肉を開いて、人工歯を装着するための部品をインプラントに接続していきます。GBRの方法では新たに骨が再生されているため、歯肉は滑らかな形状となり、機能的な部分だけでなく見た目も美しく再生が可能となるのです。
配信: 医科歯科健診コラム