他者に「支配したい」と思わせる吸引力
また、一郎の一番の魅力は、他者に「支配したい」という独占欲を駆り立てる吸引力にある。俊哉も美和子も一郎の“支配権”を我が物にしようととりつかれたように振る舞っていた。一郎に当初は不信感を抱いていた香苗も例外ではなく、一郎からどんどん目が離せなくなっている。各登場人物に「支配したい」と思わせることに、納得感を覚えさせられるのも櫻井だからこそではないか。
1話で取材中に香苗から「先生は鈴木秘書官が、28年前のBG株事件で逮捕された宇野耕介氏の息子だということも知っていたんですか?」と痛いところを突かれた時、一郎は俊哉に助けを求めるような視線を送っていた。このシーンのように一郎は各登場人物に“ウルウル”した目線を送る場面が珍しくない。一郎のクリクリした目元で視線を向けられると、思わず「助けなきゃ」という気持ちにさせられる。ここまでの請求力のある目線は櫻井でなければ表現できず、一郎を中心とした牽制(けんせい)合戦が繰り広げられることは必然と思えてしまう。
原作者も「櫻井翔さんをイメージして書いていた」
そもそも、原作を手がけた早見氏の担当編集者が「早見さんは、謎多き政治家・清家一郎というキャラクターがとてつもなく大好きとのこと。その人物を描くにあたって、『櫻井翔さんをイメージして書いていた』ともおっしゃっていました」とコメントしている。そこへ櫻井の表現力も合わさっているのだから、櫻井が一郎とマッチするのは当然である。(「文藝春秋BOOKS」担当編集者コメントより)
今後も一郎が登場人物だけではなく視聴者をも、どのように振り回してくれるのか楽しみだ。
<文/望月悠木>
【望月悠木】
フリーライター。主に政治経済、社会問題に関する記事の執筆を手がける。今、知るべき情報を多くの人に届けるため、日々活動を続けている。Twitter:@mochizukiyuuki
配信: 女子SPA!
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