パリコレを目指し挫折も…56歳俳優が“圧倒的な存在感”を発揮できるまでになったワケ

パリコレを目指し挫折も…56歳俳優が“圧倒的な存在感”を発揮できるまでになったワケ

 大沢たかおの演技を見ていつも思うのは、この人の代わりになる存在は果たしているだろうかということ。


 2024年7月12日から全国で公開されている『キングダム 大将軍の帰還』で演じる王騎役に対しても同じく感じる。シリーズを通じて誰もが納得できる大将軍役を完走した大沢を心から讃えたい。

 イケメン研究をライフワークとする“イケメン・サーチャー”こと、コラムニスト・加賀谷健が、本作の大沢たかおが、王騎役でなければならなかった理由を解説する。

作品を土台から支える存在感

 2019年公開の『キングダム』を第1作目とする「キングダム」シリーズを通じて、主人公・信(山﨑賢人)が憧れ、弟子入りする天下の大将軍・王騎を演じる俳優は、大沢たかおでなければならなかった。

 他のどの将軍たちよりも武勇と機知に富み、ちょっと独特で柔和な喋り方と「ンフッ」の笑い方を特徴とする大人物。中国の春秋戦国時代、大国同士の戦いがあれば、必ずひょいと顔を見せる。その瞬間の威厳に満ちた表情。

 実写化不可能と言われた原泰久による原作漫画に対して、果敢なアクション場面満載の撮影現場で座長をはる山﨑賢人の努力がにじみつつ、王騎を演じる大沢たかおの存在感溢れる佇まいが作品を土台から支えなければ、同シリーズは決して成立しなかっただろう。

大仕事をさらっとやり遂げてしまう人

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 常に誰よりも強い存在でいなければならない王騎役は大役であると同時に、相当な難役でもある。熱心な原作ファン、シリーズ映画ファンをともに納得させる演技を担保にしなければならない。

 出演場面が少ない『キングダム』ラスト。嬴政(吉沢亮)が秦国の王位継承争いに決着をつける。咸陽の宮殿前には、王騎が颯爽と現れる。威嚇する兵士たちに矛を一振りして蹴散らす様は、大将軍の称号に相応しい。

 そんな一太刀をいかにも涼し気な表情でやってのけてしまうのは、大沢たかおにしかできない大技だろう。そう、大沢たかおとは、いつどこでも大仕事をさらっとやり遂げてしまう人なのだ。

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