スターバックスの「借りるカップ」とは?ストアマネージャーがリユースの未来を考えるサミットを開催

スターバックスの「借りるカップ」とは?ストアマネージャーがリユースの未来を考えるサミットを開催

スターバックスが2021年から実証実験を行っている「借りるカップ」をご存じ?カップを「借りて・返して・再利用する」循環型プログラムだ。現在実施しているのは、東京都の丸の内・大手町、渋谷・大崎・目黒エリア、愛知県名古屋市内の計38店舗。その店舗のストアマネージャー(店長)が集結する「借りるカップ 店長サミット 2024(以下、サミット)」が、6月にサポートセンター(本社)で開催された。これまでに培われた知見をディスカッションするというこのサミットの様子をお届けする。

■「借りるカップ」は、なぜ必要?
「借りるカップ」は、アメリカ、韓国、台湾など、世界各国のスターバックスで行われている取り組みで、レンタルするカップやシステムは国によって異なっている。スターバックスが「リソースポジティブカンパニー」を目指してグローバルで掲げる環境目標「2030年までにCO2排出量、水使用量、廃棄物量50%削減」の実現のため、テイクアウト利用でもごみを削減することをねらう取り組みだ。

日本では、容器のリユースサービス「Re&Go」を活用し、LINEを通して繰り返し使える専用のステンレス製タンブラーを借り、ドリンクを注文し、利用後は対象店舗に返却できるシステム。利用後の洗浄も不要なうえ、マイタンブラー同様にドリンクに店内利用22円、持ち帰り利用21円の割引が適用されるという利用者にうれしいメリットもある。

この日集まったのは、「借りるカップ」を導入している店舗のストアマネージャーたち。サミットの目的は、各店舗の経験や知見を共有し、それぞれが自信を高め、「借りるカップ」やリユースを楽しむ未来を共に考え、ポジティブな変化を起こしていくことだという。

丸の内三菱ビル店の白石さんによるコーヒー テイスティングでサミットはスタートした。白石さんがこの日選んだ豆は「スターバックス(R) ルワンダ」だ。

ルワンダ東部の新しい世代の生産者グループによって栽培されたこのコーヒー豆を選んだ理由は、「未来への一歩を代表するコーヒー豆」だからだという。「サステナビリティは“今が痛い”わけではない。けれど、だからこそ持続していくことの大切さ、未来を想像すること、こうできたらいいなという“Want”の部分を持つことが大切だと感じています」と、サステナビリティへの想いを語る。

また、スペシャルゲストとして水口貴文CEOも登壇し、取り組みの意義をこう話す。

「リソースポジティブカンパニーを目指して、廃棄物等を削減する上で、『借りるカップ』はとても大きなことです。リユースの文化をスターバックスがリーダーシップをもって日本でさらに広めていくことはとても意味のあることなので、ぜひ挑戦していきたいと思っています。自分たちの子どもや孫の時代に住みやすい世の中を作るために、今、一人ひとりがやることがすごく大事です」

では、「借りるカップ」を広げるために、パートナー(従業員)たちはどのような考えを持ち、取り組んでいるのだろう。サミットで発表された事例を紹介しよう。


■各店が店舗の特性を生かして借りるカップを提案
「借りるカップ」はシステムの説明、カップの貸し出しや返却など、ともすればパートナーにとってオペレーションが増えるサービスといえる。しかしその業務を、お客とパートナー双方にとってポジティブにとらえているのが、スターバックス コーヒー 渋谷ストリーム店だ。

ストアマネージャーの梅澤さんは、「借りるカップ」を推進する中で、全体のビジョンや利点を整理し、さらにもたらされた変化を明確にパートナーに伝えることで、ポジティブな循環が生まれていくと紹介。こと。来店客への借りるカップの提案を通し、「お客様とスターバックスとのエンゲージメントがアップし、お客様の来店動機につながります。そしてそれが、パートナーがここにいる理由にもつながります。チームのみんなが変化を受け入れて共に前進し、成功させていきたい」と熱く語った。

来店客との日ごろのコミュニケーションや自身の体験をきっかけに、店舗の特性に合った方法で「借りるカップ」を提案しているのは、多くの企業のオフィスも入る高層ビル内にある大手町プレイス店だ。
「華やかなフラペチーノ(R)を飲みたいけれど、業務中だと周囲からの目線が気になる…」そんな声にヒントを見出し、「借りるカップで、フラペチーノ(R)を楽しんでみませんか」という提案を始めたという。

次に注目したのは、高い「保冷、保温」の機能面です。村山さん自身も使ってみて、お気に入りのビバレッジを長時間楽しめた経験から、「フラペチーノ(R)が溶けずに最後までおいしく飲めました」と保冷効果とともに提案すると、反響があり、利用者数も増加。カップの利点を自ら体験し、パートナーと共有することで、自信を持っておすすめできるようになったそうだ。


■サミットで得た知識をパートナーと共有し、未来へつなげる
ベストプラクティスの発表に触発され、グループディスカッションも盛り上がりをみせた。「借りるカップ」にまつわる失敗談や課題を出し合い、その解決方法をさまざまな観点からみんなで積極的にアイデアを出し合う。その一部をご紹介しよう。

システム面では、借りるカップの加盟店ではない店舗へカップが返却されるケースがあるという悩みが。それに対し「アプリで調べられることをきちんと伝える」「スマホとカップを持っているお客様に積極的にお声がけする」と、案内方法の工夫について語られていた。

また、借りるカップ利用率を拡大するためには、いかにお客に興味を持ってもらうかがとても大切だ。「保冷・保温機能が高いなどカップの性能を伝える」「1人3つまで借りられるので複数人分も持ち帰ることができる」という、サステナビリティ以外にも利点があることをアピールしようという意見が出ていた。

こうしたディスカッションやベストプラクティスの発表を通し、あらためて目的を共有したパートナーたち。今回得た新たな気づきを店舗に持ち帰り、すぐにできることから取り組みを始めているという。「借りるカップ」はもちろんのこと、スターバックスでは店内利用のマグカップやグラス、マイタンブラーの利用など、持ち帰りでも店内利用でもリユースの選択肢が複数ある。私たちの明日ために、今日の一杯から、“リユース”という選択を始めてみよう。

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