見目麗しい金魚のゼリー/日本橋屋長兵衛の「金魚すくい」

見目麗しい金魚のゼリー/日本橋屋長兵衛の「金魚すくい」

文筆家・甲斐みのりさんが東京でめざして訪れたいおやつの店をピックアップ。今回は日本橋「日本橋屋長兵衛」で購入できる「金魚すくい」をご紹介します。

優雅に泳ぐ金魚が美しい、やさしいレモン味のゼリー

 日本の夏の風物詩として親しまれる金魚。室町時代に中国から伝来してしばらくは、裕福な貴族や商人が観賞用に飼う富の象徴のような存在でした。江戸時代中期以降は養殖が盛んになって値段も下がり、庶民の間でも一大ブームに。夏の江戸のまちなかに金魚売りの声が響くようになりました。金魚すくいがおこなわれるようになったのもこの頃から。当時はまだラスの金魚鉢が一般的ではなかったため、陶器に入れるスタイルが一般的。優雅に泳ぐ姿を上から眺める「上見(うわみ)」という鑑賞法で金魚を愛でていたそうです。

 私も子どもの頃は近所の夏祭りで、金魚柄の浴衣で着飾って、金魚すくいするのを楽しみにしていました。だいたいうまくすくえずに、持ち帰るのはおまけの1匹。器用な姉がすくった金魚と合わせて金魚鉢に移し、音楽を奏でるようにゆらりと泳ぐ赤や黒の金魚の姿を、いつまでも眺めていました。
 そんな金魚の姿をうつした、夏にぴったりの涼しげなおやつ。すっきり爽やかなレモン風味のゼリーの中を、赤と黒、2匹の金魚が泳いでいます。冷蔵庫でキンと冷やしたあと、ガラスの器に移し替え、夏の景色を匙ですくって口の中へ。金魚すくいをしているような懐かしさがこみあげます。
 この粋なお菓子を作っているのは、江戸時代には五街道の起点として賑わいを見せた日本橋に本店を構える「日本橋屋長兵衛」。「江戸の文化を和菓子に」というコンセプトのもと、季節の色や香りを感じる情緒豊かな和菓子が取り揃っています。「金魚すくい」と同じく夏限定の「ラムネゼリー」や「花火玉」も、涼やかで愛らしく、夏のおやつにおすすめです。


取材・文/甲斐みのり

この記事の詳細データや読者のコメントはこちら

関連記事:

提供元

OZmall(オズモール)
OZmall
会員数300万人の女性向けWEBメディア。OZmall [オズモール] は東京&首都圏の女性に向けた情報誌 OZmagazine [オズマガジン] のWEB版です。「心ときめく“おでかけ体験”を一緒に」をテーマに、東京の感度の高い女性に向けた最新トレンド情報を紹介しています。
会員数300万人の女性向けWEBメディア。OZmall [オズモール] は東京&首都圏の女性に向けた情報誌 OZmagazine [オズマガジン] のWEB版です。「心ときめく“おでかけ体験”を一緒に」をテーマに、東京の感度の高い女性に向けた最新トレンド情報を紹介しています。