医師が解説――夏バテと似ている!?貧血との見分け方

 2024年の夏も暑い日が続いており、すでに夏バテを感じてはいませんか? 身体がなんとなくダルかったり、立ちくらみやめまいがあったりしたなら要注意。夏バテではなく、貧血の可能性もあるからです。

 今回は、症状が似ている夏バテと貧血の見分け方や夏の貧血予防のための食事術を、静岡県立総合病院リサーチサポートセンター臨床研究部長の田中清さんによるアドバイスのもと、お届けします。

■夏バテと貧血の違いとは?

 夏バテと貧血は、ダルさやめまい、集中力が続かないなどの症状が似ている一方でその原因は異なるため、しっかりと見分けて適切に対処することが重要です。

 夏バテは、暑さで体力が消耗し、体のあちこちに感じる不調のことの総称。寒暖差による自律神経の乱れや、水分・ミネラル不足による脱水症状が原因となります。

 貧血は、血液中の赤血球の数が少なくなり、酸素の供給が不十分になってしまうために起きます。赤血球の生産低下の原因として、鉄やビタミンB12、葉酸などの栄養不足が挙げられます。

 夏バテと貧血の症状は似ていますが、貧血の場合は立ちくらみやめまい、集中力の低下の他、階段の上り下りといった軽めの労作で息切れや動悸が起こる、日中に眠気を感じることがある、味が分からなくなることがある、朝起きたときにぐったり疲れている、頭痛が生じやすい、人よりも寒がりであり手足の先が冷たくなるといった症状があります。

■貧血セルフチェック

 貧血は、間違った判断によって貧血と気付かず放置してしまうと、心臓や脳に負担がかかって心筋梗塞や記憶障害などの重篤な病気にかかってしまう恐れがある危険な症状。次の項目をチェックして、体調管理に役立ててください。

□めまいや立ちくらみがする

□吐き気を催す

□頭痛がある

□アルコールを飲むことが多い

□眠気を感じる

□顔色が悪く、冷える

□下痢が続く

□月経前、月経になると貧血を引き起こす

□爪がもろく、些細な衝撃で割れることがある

 チェックした項目が多かったり、引っかかる項目があったりする場合は、速やかに医療機関を受診する必要があります。

■夏の貧血対策はどうすればいい?

 大量の汗をかくことで鉄も一緒に流れてしまうことから、暑い時期は鉄欠乏による貧血症状に悩まされる人が多いようです。そこで、貧血対策の代表的な栄養素である鉄とビタミンB12の効率的な摂取方法をみていきましょう。

●鉄が摂れる食材と摂取方法

 鉄分の欠乏でヘモグロビンが十分作れなくなることで起こる「鉄欠乏性貧血」を予防・対策するためには、鉄の摂取がポイントとなります。

 鉄には動物性食品に含まれる「ヘム鉄」と、植物性食品に含まれる「非ヘム鉄」の2種類があり、特性を理解して摂取することが大事。また、カフェインは鉄の吸収を阻害する可能性があるため、貧血気味の人は食中、食後のコーヒーやお茶を控えたほうがよいです。

<ヘム鉄>

 レバーや赤肉、赤身の魚など、動物性食品に多く含まれる鉄分。人間の体への吸収率が25%程と高い吸収を促します。

<非ヘム鉄>

 野菜や豆乳、穀物、海藻、卵、乳製品などに多く含まれています。吸収率は3~5%程とヘム鉄よりかなり低いですが、オレンジやキウイフルーツ、イチゴなどの果物や、パプリカやブロッコリーといった野菜など、ビタミンCを含む食品と一緒に摂ることで吸収率を高めてくれます。

●ビタミンB12が摂れる食材と摂取方法

 ビタミンB12や葉酸の欠乏によって赤血球が十分作れなくなることで起こる「巨赤芽球性貧血」を予防・対策するためには、ビタミンB12の摂取がポイントとなります。

 ビタミンB12を多く含む食材は、さんま・さば・いわしなどの青魚や、あさり・しじみ・レバー・赤身肉・卵などがあります。水溶性のビタミンのため、スープなどまるごと食べられる調理法や、汁ごと使える缶詰などの利用が効果的。サプリメントもうまく活用しながら摂取しましょう。

 夏バテと貧血の両方のリスクがある夏。症状から見分けるとともに、日頃からの栄養摂取を心がけて予防・対策してくださいね。

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アサジョ
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