近年の実写化作品の中で、クオリティ(演出)と俳優の演技がうまく噛み合っている作品は、極端に少ないと思う。
煮え切らない状況をドドンと打破してくれるような存在はいないものだろうか? そう考えていると、ひとりの俳優の名前が浮かぶ。高橋文哉である。
イケメン研究をライフワークとする“イケメン・サーチャー”こと、コラムニスト・加賀谷健が、次世代の実写化俳優だと感じる高橋文哉を解説する。
可愛いエッセンスを注入中
就寝前のダラダラ時間。中学教師・西片(高橋文哉)が、大好きなアニメ作品を視聴している。うっすらニヤけて、時折、顔をぷくっとさせる。これが、映画『からかい上手の高木さん』冒頭、ワンショット目。
結構長めのワンショット。主人公が静かに動画を見ているだけなのだが、高橋のこの持続力あるぷくっと状態が、ずっと見ていられる。というか、ずっと見ていたい。
可愛らしいという形容詞がこんなに似つかわしい俳優が他にいるだろうか? 単なる上辺の可愛いでも、あざと可愛いわけでもない。そこには、純粋に可愛いエッセンスを注入中という、この感じ……。
売れっ子になるなと確信した作品
現在23歳。若手最大の出世頭だ。2017年に「男子高生ミスターコン2017」でグランプリを受賞。『太陽とオオカミくんには騙されない』(AbemaTV、2018年)に出演したあと、『仮面ライダーゼロワン』(テレビ朝日、2019年)で、初の21世紀生まれのライダー俳優になった。
筆者の中での最初の注目作は、川口春奈主演の『着飾る恋には理由があって』(TBS、2021年)。川口扮する真柴くるみが働くインテリアメーカーの新人社員・秋葉亮を演じた。
脚本は金子ありさ。脚本の構成上、主演の川口と相手役の横浜流星だけでなく、新人俳優にもちゃんと花を持たせてくれる。高橋にとっては、恰好のイントロデュース作品として、なかなかの存在感で健闘した。
同作出演で、これは売れっ子になるなと確信した。今田美桜主演の『悪女(わる)~働くのがカッコ悪いなんて誰が言った?~』(日本テレビ、2022年)でもオフィス内を活気づける役柄。同作では、清掃員。応接室を清掃中、高橋の顔に、窓から外光が差す瞬間の輝きが眩し過ぎた。
配信: 女子SPA!