実際に見た高橋文哉
実は筆者は『からかい上手の高木さん』取材現場で高橋にちらっと遭遇した。取材部屋の外で待機していると、休憩中の高橋がケータリングスペースにやって来て、何ともさわやかに(でも慎ましく)コーヒーを注文していったのだ。
画面内の高橋も画面外の高橋も激しく可愛いエッセンスを放出(と同時に注入)していた。彼がコーヒーを注文する、すぐ隣のベンチに腰掛けた筆者が、思わず凝視寄りのチラ見を繰り返したのはどうか許してほしい。
その吐息は、リアルに薄桃色がかっていたと思う。今いる空間をそれとなく夢色の情景に染めてしまう人でもある。実際に見た高橋からそう感じた。そう、高橋文哉とは、現実と夢とをいとも簡単につなぎ合わせてしまう才能の持ち主なのだ。
山﨑賢人以降不在だった“きらきら映画王子”
現実と夢(二次元)をリンクさせる、その才能を生かさない手はない。もし高橋がラブコメ漫画を原作とする実写化作品が日本映画界の一大潮流になり、黄金期を迎えた2010年代中頃を生きる俳優なら、間違いなくきらきら映画作品で気を吐いていたことだろう。
現在、同ジャンルは、興行面で下火になり、日本映画シーンから薄れた感がある。それでもケータイ小説のヒット作を原作とした『交換ウソ日記』(2023年)で、(恋愛映画)初主演を果たした高橋が、ラブコメ的なきらきらオーラを全身から放っていた。
『オオカミ少女と黒王子』(2016年)を頂点に当時のきらきら映画を牽引したのは、実写化王子の異名を取った山﨑賢人だったが、山崎以降不在だった“きらきら映画王子”の座は、高橋が継承するより他なかったとも言える。
配信: 女子SPA!