実写化俳優を担う本気度
山﨑主演『オオカミ少女と黒王子』と高橋主演『交換ウソ日記』の比較で言うなら、きらきら映画にしては珍しい引きの画面を駆使した廣木隆一監督の演出が突出していた前者に対して、後者には映画的な背骨はあまり感じられなかったのは事実。
『オオカミ少女と黒王子』は、きらきら映画黄金期に生み出された偶然の傑作だったのだ。同作以降、めぼしい実写化作品が生まれていない現状を考えると、次世代の実写化俳優である高橋文哉によって新陳代謝を図ることはそれなりに有効だと思う。
志尊淳とTBSドラマ初主演を飾った『フェルマーの料理』(2023年)と最新主演ドラマ『伝説の頭 翔』(テレビ朝日、毎週金曜日よる11時15分から放送)は、ともに少年漫画が原作。
1000人のヤンキーたちを束ねる伝説の頭・伊集院翔とカツアゲされてばかりのいじめられっ子・山田達人が入れ替わり、高橋が一人二役で演じ分けている。
第1話ラスト、翔に破門された過去がある荒くれ者・金山大房(犬飼貴丈)に達人がボコボコにされたあと、大好きなキャラクター枕を抱いてわちゃわちゃするギャップ。それぞれのキャラと演技のバランスをうまく保つ高橋からは、山﨑以後の新たな実写化俳優を担う本気度が伝わる。
<文/加賀谷健>
【加賀谷健】
音楽プロダクションで企画プロデュースの傍ら、大学時代から夢中の「イケメンと映画」をテーマにコラムを執筆している。ジャンルを問わない雑食性を活かして「BANGER!!!」他寄稿中。日本大学芸術学部映画学科監督コース卒業。Twitter:@1895cu
配信: 女子SPA!
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