有村架純のシャワーに濡れながらの涙が強烈に物語る絶望。月9で描かれる「いまどきの問題」とは?/『海のはじまり』

有村架純のシャワーに濡れながらの涙が強烈に物語る絶望。月9で描かれる「いまどきの問題」とは?/『海のはじまり』

思考の途中にいる夏を目黒蓮がみごとに演じている

とかく物事は、相手の気持ちを聞かないことによって不幸な方向に転がってしまう。最たるケースが水季(古川琴音)である。夏がどうしたいか聞かずに、勝手に判断し、子供を堕ろすことにしたものの、やっぱり黙って生み育てることにした。


夏は、優柔不断で即決できない人だけれど、相手のことも思いやれるから、彼の考えをじっくり待てば、良い方向に進んだかもしれないのだ。

そう、夏はゆっくりと何が最適か考える人として描かれている。言葉数も多くないし、ぼそぼそしゃべるし、表情もいつもわりと困っているような顔をしていて感情がわかりにくい。でもそれは思考の途中だからだ。

その思考過程にいる人物を目黒蓮がみごとに演じている。彼は、いつも迷い考えて、ある瞬間に笑顔になる。彼が笑顔になれば、いまの状況には問題がない。正しい選択ができている、そんな安心の笑顔なのである。

素朴な海は津野に一緒に遊ぼうと言う

たとえば、3話の終わりから4話の冒頭にかけての海(sea)での夏と海。ここでの夏の笑顔は最高だった。そこに朱音(大竹しのぶ)による、水季が加わった親子3人の楽しい時間はこのうえもなく美しかった。


空も海もとてもきれいな色で、完璧とはこういうことを言うのだと思わせたが、興味深いのは、海は、夏と海(sea)を満喫したあと、津野(池松壮亮)と電話で、今度は一緒に海に行こうと言うことだ。

「なんで前みたいにいっぱい会えないの?」と素朴な疑問も発する。海が現れる前は津野が頻繁(ひんぱん)に遊んでいたのだろう。津野は「パパじゃないからかな」と返すが、海にはピンとこない。

そんな会話をしているときの海は、高いところのものをとるときに使用するような台にちょこんと座っている。足がすらりとすでに長く、最近の子は成長著(いちじる)しいなあと思う。

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