子どもを「水難事故」から守る! 救急医が語る水難事故の重症化を防ぐ方法とは

子どもを「水難事故」から守る! 救急医が語る水難事故の重症化を防ぐ方法とは

水難事故の重症化を防ぐための方法とは

編集部

志賀先生が水難事故に遭い治療された中で、とくに印象深かったエピソードを教えてください。

志賀先生

特に印象的なのは、沖縄でサンゴ礁がある浅い海に飛び込んで脊髄損傷になった方がいました。ほかには、沖縄で泳いでいたら失神してしまい浮いているところを助けられた人です。この方は溺れていた時間が短く、すぐにCPR(心肺蘇生法)が始められたため、意識が回復し、肺炎を発症した程度で済みました。また、お酒を飲んで川で泳いで溺れた方が、時間が経ってから心肺停止の状態で発見され、助からなかったという出来事もありました。悲嘆した親御さんの鳴き声が非常に心に残っています。

編集部

溺れている人に遭遇したとき、私たちがまず取るべき行動について教えてください。

志賀先生

溺れている人を見つけた場合には、むやみに助けに行くのではなく、まずは助けを呼ぶことを考えましょう。ライフジャケットや浮き輪がなく、救助法に慣れていない場合にはペットボトルやTシャツ、ズボンなどを使って簡易の浮き輪をつくる方法もあります。もし海で溺れた場合には、カレント(潮の流れ)に逆らって海岸を目指すのではなく、カレントに従って横に移動していくことを覚えておきましょう。

編集部

重症化を防ぐために、救出後の対応としてとくに気を付けることはありますか?

志賀先生

基本的にはABCの順番で対応します。Airway(気道確保)、Breathing(呼吸)、Circulation(循環)の順におこないます。具体的には、まず気道を確保し、呼吸と心臓の動き(脈拍)を確認し、その後心肺蘇生をおこないます。もし心肺停止の状態であれば、すぐに救急車を呼び、CPR(心肺蘇生法)とAEDで対応してください。その後、回復体位(横向きで、上側の手の甲をあごの下に入れ、下あごを軽く前に出して気道確保し、上側の脚を前に出した体位)をとって救急車を待ちましょう。

編集部まとめ

水難事故は、川や海での活動中に起こりやすく、子どもの死因でも高い割合を占めているとのことでした。事前の準備や安全な行動が不可欠で、ライフジャケットの着用やアルコールの摂取を避けることが重要です。また、子どもだけでの活動にならないように大人が付き添いましょう。万が一の場合には、早急な救助と適切な応急処置が生命を救う、重症化予防には非常に重要と教えていただきました。読者の皆様が、本稿をきっかけに水難事故を防ぐための知識を身につけて頂けますと幸いです。

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