彼氏や夫の言動がガスライティングに該当するか判断するためにも、ガスライティングの定義や手口を理解することが重要です。
あわせてガスライティングへの適切な対処法も解説します。
1、ガスライティングとは?定義や言葉の由来
ガスライティングとはどのような意味であり、どのような由来をもっているのでしょうか。
まずはガスライティングの定義と言葉の由来について確認します。
(1)ガスライティングとは精神的DVのこと
ガスライティングとは「ウソの情報を信じ込ませて個人に自分を責めさせること」です。
たとえば、社内でAさんを精神的に追いつめようと考えていたBさんがいたとします。
Bさんは周囲の社員に協力してもらい、Aさんが会社の廊下を通るときにわざと小声で悪口を言っていました。
Aさんは「自分は悪口を言われているのではないか」と思い周囲に聞きましたが、Aさん含め周囲は「誤解ではないか」「あなたが周囲を悪く思っているからそのように勘違いするのだ」と答えます。
やがてAさんは被害妄想を抱いているのだと自分を責めるようになり、精神的に不調をきたすようになりました。
このように、Aさんにウソの情報を教えて自分が悪いと思わせることも、ガスライティングの一種になります。
(2)ガスライティングの名前は映画が由来
ガスライティングの名前は、「ガス燈」という映画が由来です。
映画の名前から「ガスライティング」という名前が生まれました。
ガス燈はイングリット・バーグマン主演のアメリカ映画です。
精神的DVで周囲をコントロールする男と翻弄される女性を描いた作品になります。
製作が1944年というかなり昔の映画ですが、現代でも家庭や職場で問題になるガスライティングを緻密に描いた名作として知られています。
2、ガスライティングの特徴
ガスライティングの特徴を知ることで、自分に向けられる夫や彼氏の行動や言葉がガスライティングに該当するか診断できます。
ガスライティングの特徴は、「目的」と「言動」です。
(1)ガスライティングとは「被害者を破滅させること」が目的
ガスライティングの第一の特徴が、目的です。
虫の居所が悪くて相手に意地悪な態度をとるわけでもなく、単純に嫌いだから冷たく接するというわけでもありません。
ガスライティングとは相手を精神的に追いつめて、最終的に破滅させることを目的に行われるのです。
また、被害者を虐げることで精神的な満足感を得たいケースや、被害者を精神的にコントロールしたいなどの目的でもガスライティングが使われます。
ガスライティングの目的を理解しやすい例を挙げます。
AさんがBさんを社内で孤立させたいと考えていました。
孤立させて最終的に仕事を辞めさせること(仕事面での破滅)が狙いです。
AさんはBさんが側を通るときにわざと嘲笑し、Bさんを少しずつ精神的に追いつめるようにしました。
Bさんが周囲に確認しても「Bさんの思い過ごしでしょう」という反応です。
Aさんのガスライティングは続き、やがてBさんは自分自身を追いつめて会社を辞めてしまいました。
Aさんはガスライティングの目的を達成しました。
Aさんは嫌いなBさんが追いつめられる姿に満足感も得たことでしょう。
AさんがBさんに対して行ったガスライティングのように、精神的な面から被害者の破滅を狙うのが特徴になります。
この他にも、ガスライティングとは以下のような具体的目的をもって行われます。
精神的に追いつめて自殺させたい
ママ友などのコミュニティから追い出したい
家庭内やクラス内で孤立させたい
精神的に追いつめて犯罪に走るように仕向けたい
目的を順番に見てみると、ガスライティングとは「集団の中の個人」に向けられていることが分かるはずです。
集団を破滅させるのではなく、特定の個人を破滅させることを目的に行われるのがガスライティングです。
(2)ガスライティングの特徴となる加害者の言動
ガスライティングの第二の特徴は、加害者側の言動です。
ガスライティングとは被害者を破滅させるために以下のような言動を使います。
バレやすい露骨なウソ
過去の発言の否定(実際は言ったのに「言っていない」と否定する)
ちぐはぐな言動(褒めた後に貶すなど)
何かと被害者のせいにする
周囲の人が被害者に反感を持つよう立ち回る
加害者に依存させようとする
物を勝手に移動させる
物やパソコンの設定を勝手に変更する
日用品の中身を入れ換える
被害者の私物を隠して知らない振りをする
加害者の上記のような言動(小さな迷惑行為)を咎めたり、加害者がやったのか訊いたりすると、「知らない」「被害妄想だ」など被害者側の気のせいだなどと主張します。
被害者は疑心暗鬼に陥りますが、「知らない」と主張することから被害者を責めることもできず、反対に自分を責めてしまうのです。
周囲に相談しても「気のせいだ」などと言われると、周囲や自分自身すら信じられなくなります。
少しずつ精神的に追いつめられるのです。
(3)ガスライティングとはどのような場所で起こるのか
ガスライティングが起きやすいのは「上下のある関係」「上下関係のある集団内」です。
上下のある関係とは上司と部下や、主導権を握る彼氏と彼女などの関係を意味します。
上下を力や権力の強弱と読み替えると分かりやすいはずです。
上下関係のある集団とは会社や家族、サークル、部活、友人関係の輪(ママ友など)を指します。
上下関係を横繋がりと読み替えても問題ありません。
上下のある関係は個人が逃れにくいところが特徴です。
上下関係(横繋がり)のある集団も、集団に属していると簡単に関係を切ることはできません。
上下関係や集団に拘束されるケースでガスライティングが起きやすいという特徴があります。
配信: LEGAL MALL