3、ガスライティングとはストーカーと違うのか
彼氏や夫の自分に向けられる言動がガスライティングなのか判断する際は、ストーカーとの見分けが重要です。
ストーカーとガスライティングはよく似ていますが、ふたつの点で異なっています。
ガスライティングとストーカーの違いのひとつは「目的」です。
ガスライティングとは、相手を精神的に追い込んで破滅させることが目的になります。
破滅する過程で相手をコントロールすることや、破滅に向かう姿に満足感を覚えることも目的です。
一方ストーカーは違います。
ストーカーの場合は、恋愛感情の成就や被害者の気を惹くことなどが目的です。
ガスライティングとストーカーのふたつ目の違いは「被害者に悟らせるかどうか」という点になります。
ガスライティングとは被害者を精神的に追いつめて破滅させることが目的ですから、ガスライティングだと被害者が悟ってはマズいのです。
たとえば社内でのガスライティングの場合、被害者が嘲笑や陰口の存在にはっきり気づいていたらどうでしょう。
そして、それがガスライティングだと分かってしまったらどうなるでしょうか。
ガスライティングのやり方に気づかれてしまったわけですから、被害者はしかるべき対処をするか、目的を悟って加害者の思い通りにならないように立ち回るかもしれません。
ガスライティングだと悟られてしまっては、加害者側の目的達成が難しくなるはずです。
だからこそ、ガスライティングのやり方は被害者に悟られないようにします。
ストーカーは恋愛成就や気を惹くこと、自分(加害者)に意識を向けさせることなどが目的です。
そのため、被害者に悟らせようとする傾向があります。
4、ガスライティングとは?よくある手口
夫や彼氏の言動がガスライティングかどうか診断するために、よくあるやり方を5つ紹介します。
ガスライティングは夫や彼氏、同僚などが単独ですることもありますが、周囲を巻き込んで集団で行うケースもあります。
よくある手口を把握するときに注意してください。
(1)手口①疑心暗鬼に陥らせる
Aさんが仕事から帰宅すると家の鍵が開いていました。
家には彼氏が来ており「鍵を閉め忘れたのだろう」とAさんのミスを指摘します。
翌日、自宅の中の物が勝手に動かされていました。
Aさんは自分で物を動かした記憶がなく困惑します。
しかし彼氏はAさんのミスだと指摘、Aさんは自分の私生活の覚えがないことを彼氏からミスとして責められてしまうため、精神的にすっかり参ってしまいました。
物を動かしたり鍵を閉め忘れたりすることを本当は自分のミスではないかと自身を責め、疑心暗鬼に陥ります。
彼氏と彼女の間で起きたガスライティングの事例です。
(2)手口②わざと痕跡を残し不安を与える
Aさんが外出から帰宅すると、家の中に誰かが侵入した形跡がありました。
窓が少し開いており、室内に小石や砂が落ちているのです。
Aさんは夫に「誰かが留守中に入ってみたい」と相談しましたが、夫は「気のせいだ」と取り合ってくれません。
さらにAさんを「自分が窓を閉め忘れたのだろう」「砂や小石はおまえが掃除の手を抜いているからだ」と責めます。
外出するたびに家の中には侵入の痕跡があり、夫にも責められることから、Aさんは疑心暗鬼に陥ってしまいました。
後に夫のガスライティングの手口だったと判明しました。
(3)手口③偶然会ったように装う
ガスライティングの中でも被害者を「監視されているのではないか」と不安にさせる手口です。
Aさんが外出すると、外出先でなぜかママ友と頻繁に会います。
偶然にしてはママ友たちと会う頻度が高いため「わざとだろうか」と悩んでしまいました。
ママ友たちにそれとなく探りを入れましたが「偶然でしょう」と口をそろえて言います。
その後も外出するとママ友と会うため、口では違うと言っているがわざと監視しているのではないかと疑心暗鬼に陥りました。
もちろん偶然ではありません。
ママ友たちはAさんと偶然を装って外出先で会うように仕組んでいました。
Aさんは外出が怖くなり自宅から出られなくなってしまいました。
ママ友の集団で起きたガスライティングの事例です。
(4)手口④加害者が嘘を吹き込む
Aさんはもともと人付き合いがあまり得意なタイプではありませんでした。
そんなAさんに対してもともと好感を持っていなかった義母は、夫や他親族に対してAさんの言動についてウソを吹き込みます。
すべて根も葉もないことです。
結果、Aさんは親族間で孤立してしまいました。
夫に義母のことを相談しても「思い込みだ」と取り合ってもらえず、自分や周囲が信じられなくなり、精神的に参ってしまったのです。
親族間で起きたガスライティングの手口になります。
(5)手口⑤移動や行動の邪魔をする
Aさんが自宅のテーブルを見ると、Aさんがしまったはずの仕事資料がテーブルの上に出されていました。
Aさんは不審に思いましたが夫に訊いても「俺を疑っているのか」と怒鳴られてしまいます。
Aさんが自宅の廊下を歩いていると夫が道を塞いだり、大きな物音を立てたりします。
明らかにわざとやっているようです。
頻繁に肩もぶつけてきて、夫に何か言うと「自分の気のせいなのに俺を疑うのか」と怒られてしまいます。
また、Aさんが何かしようとすると日常的に夫が行動の邪魔をすることや、わざと音を立てることが日常茶飯事になってしまいました。
精神的に参ってしまいました。
夫が妻を精神的に追い込んだガスライティングの事例です。
配信: LEGAL MALL