『海のはじまり』水季の死因「子宮頸がん」になりやすい人の特徴・早期発見のポイントを医師が解説

『海のはじまり』水季の死因「子宮頸がん」になりやすい人の特徴・早期発見のポイントを医師が解説

Snow Man目黒蓮(27)主演のドラマ「海のはじまり」第5話で、月岡夏(目黒蓮)の元恋人、南雲水季(古川琴音)の死因が「子宮頸がん」であることが明かされました。

皆さんは子宮頸がんがどのような病気なのか、また20代や30代と若い世代での発症率が年々増えていることをご存知でしょうか。

子宮頸がんは国内で毎年約1万人以上もの女性が発症しており、その発症率は2000年以降も徐々に増加傾向にあります。2人に1人ががんになるといわれているなかで、対処法がわからず不安な方や女性特有のがんを抑える方法を知りたいと考える方も多いと思います。

今回は、子宮頸がんの原因や症状などについて、医師の馬場先生が詳しく紹介します。また、子宮頸がんの発症率を高めてしまう行動や発症しやすい人の特徴だけでなく、治療の方法もお伝えしていきますので、ぜひ参考にしてください。

※この記事はMedical DOCにて【子宮頸がんの原因は?症状・なりやすい人・早期発見のポイントについても解説】と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。

≫【イラスト解説】知っておくべき「子宮頸がん」の予防と対策

監修医師:
馬場 敦志(宮の沢スマイルレディースクリニック)

筑波大学医学群医学類卒業 。その後、北海道内の病院に勤務。 2021年、北海道札幌市に「宮の沢スマイルレディースクリニック」を開院。 日本産科婦人科学会専門医。日本内視鏡外科学会、日本産科婦人科内視鏡学会の各会員。

子宮頸がんの原因は?

年間でおよそ18,000人もの女性が子宮がんを発症していることに、驚いてしまう方も多いのではないでしょうか。子宮がんを発症した人の内、約7割を子宮頸がんが占めています。
子宮がんは子宮関連のがんの総称です。子宮の部位ごとにがんの名称が分かれています。子宮頸がんは、子宮の入口付近にある子宮頸部という部位に発症するがんです。
なぜ子宮頸がんが多くの割合で発症するのか、子宮頸がんとなる原因はどのようなものなのかを詳しく見ていきましょう。

ヒトパピローマウイルス(HPV)の感染

子宮頸がんになる大きな原因だといわれているのが、ヒトパピローマウイルス(HPV)の感染です。このヒトパピローマウイルス(HPV)というウイルスは、性交渉によって感染が起こります。
性交渉によって感染するヒトパピローマウイルス(HPV)というウイルスですが、特別な人だけが感染するものではありません。
一生に一度は性交渉経験がある女性のほとんどの方が発症する可能性があるものです。
さらに、ヒトパピローマウイルス(HPV)の感染で発症するがんは、子宮頸がんだけではありません。以下のようながんや病気にも影響します。

肛門がん

腟がん

尖圭コンジローマ

なお、ヒトパピローマウイルス(HPV)の感染は、ほとんどが約2年以内に自己免疫機能によって自然と感染が収まるケースが多い一過性感染です。
しかし、長期間感染した状態が続いてしまうと、多くの病気発症リスクが高まります。
また、性交渉をしていない人は子宮頸がんを発症するリスクがほとんどないといわれているようです。ですが、子宮頸がん以外の子宮がんは発症するリスクがあります。
性交渉の経験があるないに関わらず、身を守るためにも定期的な婦人科検診を受けましょう。

性交渉によるウイルス感染

子宮頸がんを発症するリスクを高めるヒトパピローマウイルス(HPV)は、性交渉によって感染します。さらに、性交渉経験者であれば一生に一度は発症するといわれているほど、高確率で感染する一過性のウイルス感染症です。
さらに、2000年以降は子宮頸がんの発症率が急増しています。子宮頸がん発症率若年化の大きな要因は、性交渉の初回年齢が低下していることです。
さらに、若年層による子宮がん検診の受診率が圧倒的に低いことも大きな要因とされています。
性交渉の際には避妊具を使用することでヒトパピローマウイルス(HPV)の感染はある程度防ぐことができますが、リスクを回避するためには産婦人科で検診を受けることが効果的といえるでしょう。

子宮頸がんの症状は?

性交渉を経験している女性の半数以上が、子宮頸がんの原因となる感染症を一生に一度は発症しています。いかに子宮頸がんの発症リスクが高いのか、よくわかる内容です。
そのなかで、子宮頸がんを発症してしまった場合にどのような症状がみられるのでしょうか。5つの子宮頸がんでみられる症状を紹介します。
具体的な内容もお伝えしていきますので、参考にしてください。

初期にはほとんど症状がみられない

子宮頸がんは初期症状がほとんどみられない病気です。そのため自覚する人は少なく、ほとんどの方は子宮がん検診または産婦人科の検診で子宮頸がんの発症が確認されています。
自覚症状が出てしまうと、すでに子宮頸がんの進行が進んでいると認識してください。
子宮頸がんの早期発見には、子宮がん検診を決まった年に受けることが大切です。また、少しでも婦人科系で気になるところがある場合は気軽に産婦人科を受診するようにしましょう。

おりものの異常

子宮頸がんを発症し、状態が進行するとさまざまな症状がみられます。そのうちの1つがおりものに異常が出ることです。
異常なおりものの様子は、以下のとおりになります。

においを伴う濃い茶色のおりもの

水のようなおりもの

膿のようなおりもの

多くの粘液が出る

明らかにいつもとは違うおりものがみられた場合は、すみやかに産婦人科へ受診しましょう。

不正出血

月経や性交渉を行っていないときに出血が出る、いわゆるホルモンバランスの乱れや病気によって性器から血が出ることを、不正性器出血といいます。
不正出血の状態は以下のとおりです。

新しい出血は赤色の鮮血

古い血液は赤茶色

わずかな出血の場合黄色っぽく見えることも

不正出血は尿や肛門など、実は性器以外から出血している場合もあるため、注意する必要があります。
まずは産婦人科に受診し、不正性器出血でなければほかの病院へ受診することになるでしょう。一般的には、紹介状を書いてもらえますので医師と相談してください。

性交渉時の出血

性交渉時の出血症状は、接触出血です。ホルモンバランスの乱れにより出血する場合がほとんどですが、子宮頸がんをはじめとする病気でもこの症状はみられます。
不正出血と同様に、出血の状態が変化している場合もあるため注意が必要です。
性交渉時に痛みを伴う場合もありますので、出血量や血の色を確認したうえですみやかに産婦人科へ受診しましょう。

下腹部痛

子宮頸がんの進行が子宮頸部以上に広がってしまうと、下腹部痛が起きる場合もあります。子宮頸がんによって起きる下腹部痛は、痛みが長期間続くのが特徴です。
ほとんどの方が、重い生理痛やもがく程の痛みを感じています。さらに症状がひどくなると、下腹部痛だけでなく立ち上がれなくなる程の腰痛に襲われるのも特徴の一つです。
痛みが緩和されないときは、すみやかに産婦人科へ受診してください。