『海のはじまり』水季の死因「子宮頸がん」になりやすい人の特徴・早期発見のポイントを医師が解説

『海のはじまり』水季の死因「子宮頸がん」になりやすい人の特徴・早期発見のポイントを医師が解説

子宮頸がんの治療方法

子宮頸がんを発症した場合、どのような治療方法があるのか紹介します。
子宮頸がんの進行期、妊娠希望の有無、患者背景などによって治療方針が異なるため、十分な説明を受けたうえで、治療方針に関して担当医と相談しましょう。
代表的な治療方法は以下の4つです。

放射線治療

がんの主な治療方法の一つが、放射線治療になります。髪の毛が抜けるなど見た目への副作用が大きいことから、がんの治療といえば放射線治療と認識している方も多いでしょう。
放射線治療は、がん細胞に高エネルギーのX線やガンマ線などの放射線を照射し治療するものです。
子宮頸がんの場合は外部照射と腔内照射、組織内照射と3つの方法があります。外部照射は、骨盤の外から放射線を照射する方法です。
腔内照射は子宮内部に器具を入れて、子宮頸部に直接放射線を照射します。また、組織内照射はがんやその周辺組織内に、放射線を出す物質を直接挿入する方法です。
放射線治療は卵巣機能がほぼ失われてしまいますが、排尿の機能や性生活などの影響は手術よりも早く戻るとされています。

薬物療法

薬物療法は、主に子宮頸がんの遠隔転移の可能性があるがんの進行や再発したものに使われる治療方法です。
薬物療法に使われる薬は、分子標的薬と細胞障害性抗がん薬の2種類があります。分子標的薬は、子宮頸がんでは細胞障害性抗がん薬と併用されることもあり、がん細胞の増殖の元となるタンパク質が標的です。
それにより、がん細胞を攻撃して抑える役割があります。細胞障害性抗がん薬は、増殖する細胞の一部を抑えこんでがん細胞を攻撃する薬です。
ただし、がん以外の正常な細胞も影響を受けるデメリットがあります。薬物療法はできるだけ日常生活を送れるよう保ちつつ、生存期間を伸ばすための治療方法です。

同時化学放射線療法

同時化学放射線療法は、放射線治療と併用して行う治療方法になります。
放射線治療の効果を高めるだけでなく、がん細胞を縮小させて転移を抑える治療です。しかし、半数以上の患者さんに下痢などの症状が起こるなどデメリットもあります。
体の負担も大きいため、担当の医師と現状やその後の生活も含めて相談しましょう。

手術療法

子宮頸がんの広がり方によって、子宮頸部や子宮の一部、子宮全体を摘出する治療方法です。外科治療ともいわれ、卵巣や卵管などは摘出したがん細胞を調べてからその後の治療方針を決めます。
手術の種類は以下のとおりです。

子宮頸部の一部を円錐状に切除する円錐切除術

子宮だけを切除する単純子宮全摘出術

がんを取り残さないよう少し広めに子宮を切除する準広汎子宮全摘出術

子宮だけでなく周りの組織や腟を大きく切除する広汎子宮全摘出術

妊娠の可能性を残すため子宮体部と卵巣以外を切除する広汎子宮頸部摘出術

手術療法は、体への負担が大きいだけでなく、手術後の合併症や妊娠出産ができなくなるなどのデメリットも多くあります。
治療だけでなく、その後の生活面も踏まえたカウンセリングをしっかり行うことが大切です。体の一部を失う大きな手術ですので、必要であれば気持ちの面でもカウンセリングを受けましょう。

子宮頸がんには予防ワクチンがある

子宮頸がんの大きな原因といわれるヒトパピローマウイルス(HPV)の感染を防ぐワクチンがあることをご存知でしょうか。
厚生労働省でも小学校6年〜高校1年相当の女子を対象に、定期接種を受けるよう推奨しています。ワクチンの種類は3種類です。

シルガード

ガーダシル

サーバリックス

子宮頸がんの予防ワクチンは各市町村が主体となっているため、予防接種担当課にお問い合わせください。また、予防ワクチンの接種年齢やワクチンの種類によっても、接種スケジュールが異なります。
理想としては、1年以内に接種スケジュールを完了させることです。また、性交渉未経験の内に予防ワクチンを接種することが望ましいとされています。
性交渉経験があると予防ワクチンを接種できないわけではありませんので、医療機関と相談してください。