「放射線治療ができない人の特徴」はご存知ですか?副作用となる症状も医師が解説!

「放射線治療ができない人の特徴」はご存知ですか?副作用となる症状も医師が解説!

放射線治療ができない人の特徴とは?Medical DOC監修医が放射線治療の対象となる疾患・できない人の特徴・治療の流れ・副作用などを解説します。

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監修医師:
木村 香菜(医師)

名古屋大学医学部卒業。初期臨床研修修了後、大学病院や、がんセンターなどで放射線科一般・治療分野で勤務。その後、行政機関で、感染症対策等主査としても勤務。その際には、新型コロナウイルス感染症にも対応。現在は、主に健診クリニックで、人間ドックや健康診断の診察や説明、生活習慣指導を担当している。また放射線治療医として、がん治療にも携わっている。放射線治療専門医、日本医師会認定産業医。

「放射線治療」とは?

放射線治療とは、人工的に作り出した高エネルギーの放射線を用いたがんの治療法のことです。手術や抗がん剤治療とともに、がん治療の柱となっています。
放射線治療は、がんの部分にエックス線などの放射線を照射(しょうしゃ)することで効果を発揮します。放射線を当てている間には特に痛みなどを感じることはありません。しかし、放射線治療を受けることができない場合もあります。
今回の記事では、放射線治療ができない人の特徴や、放射線治療の副作用について解説します。また、放射線治療がどのようながんに対して有効なのかについても解説していきます。ぜひ参考にしてみてください。

放射線治療の対象となる疾患

さまざまながんが放射線治療の対象となります。

子宮がん

子宮頸がんは、子宮の頸部に発生する悪性の腫瘍です。早期では無症状ですが、がんが大きくなると出血などをきたすこともあります。ヒトパピローマウイルスの感染が原因ではないかといわれています。
子宮頸がんの治療は、産婦人科や腫瘍内科、放射線治療科などで行われます。子宮頸がんに対する治療には、放射線治療の他にも手術や化学療法があります。
子宮頸がんに対して放射線治療が行われる場合には、外部照射と腔内(くうない)照射の2種類があり、これを組み合わせることがあります。外部照射は、体の外から放射線を当てるものです。一方、腔内照射は、専用の器具を用いて子宮の頸部に放射線を出す物質を入れ、放射線を子宮の中からがんに当てるというものです。
子宮頸がんが進行し、がんがより広い範囲に広がっている場合には、放射線治療と化学療法を組み合わせる化学放射線療法が行われることもあります。

前立腺がん

前立腺がんは、前立腺に発生する悪性腫瘍です。早期の段階では特に症状はありません。しかし、腫瘍が大きくなってくると尿が出にくい、尿をするために時間がかかるといった排尿障害が生じることもあります。前立腺がんの治療は、主に泌尿器科で行われます。
がんが前立腺にとどまっている場合、放射線治療は手術と同様の治療効果があることが研究で明らかになっています。放射線治療は、体の外から放射線を当てる外部照射と、放射線を出す小さな針を前立腺に挿入する小線源(しょうせんげん)治療があります。
外部放射線治療は、平日毎日、8~9週にわたって行われます。放射線治療の前に、ホルモン治療によってがんを小さくするといった治療が行われる場合もあります。

頭頸部がん

頭頸部がんは、首やのどに発生するがんの総称です。
頭頸部は構造が複雑なので、手術が難しい場所にがんが発生することも多いです。そうした場合には、放射線治療や化学療法がよい適応になります。また、頭頸部のがんは、多くが扁平上皮癌(へんぺいじょうひがん)というタイプであり、放射線治療が効きやすいです。
頭頸部がんに対する放射線治療は、耳鼻咽喉科や頭頸部外科、薬物療法科、放射線治療科などで行われます。
例えば、上咽頭(じょういんとう)という、のどの上の方の脳などに近い部位にできる上咽頭がんは手術が難しいです。また、放射線治療の効果が現れやすいがんです。そのため、放射線治療のみか、もしくは化学療法を組み合わせた化学放射線療法が第一選択になることが多くみられます。

悪性リンパ腫

悪性リンパ腫は、白血球の1種であるリンパ球ががんになってしまう病気のことです。
悪性リンパ腫には、ホジキンリンパ腫と、それ以外の非ホジキンリンパ腫があります。
症状としては、リンパ節が多い、首や腋(わき)の下や、鼠径部(そけいぶ:足の付け根の部分)などに腫れが生じます。また、他にも寝汗が増える、発熱、発疹等さまざまな症状が現れます。
悪性リンパ腫の治療は、血液内科や腫瘍内科などで行われます。
放射線治療は、特にホジキンリンパ腫に対しては、一番局所制御(がんを小さくする効果)が大きいといわれています。
放射線治療は、体の外から放射線を当てる外部照射が行われます。化学療法を先に行い、そのあとに放射線治療をがんがあった部分に対して行います。

乳がん

乳がんは、乳腺から発生する悪性腫瘍です。乳がんの治療は、乳腺外科や外科などで行われます。
乳房を残す手術である乳房温存手術後に放射線治療を行うことで、がんの再発を防ぐ効果が明らかになっています。
手術の後に、がんがあった方の乳房に対して放射線治療を行います。乳がんの種類によっては、ホルモン剤や分子標的薬、化学療法を組み合わせることもあります。

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