「放射線治療ができない人の特徴」はご存知ですか?副作用となる症状も医師が解説!

「放射線治療ができない人の特徴」はご存知ですか?副作用となる症状も医師が解説!

放射線治療の副作用となる症状

放射線治療の副作用には、急性期と晩期の2つがあります。放射線治療中や終了直後の急性期の副作用と、治療が終わってから半年〜数年経ってから現れる晩期の副作用となります。

放射線宿酔

放射線治療の急性期の副作用の一つに、放射線宿酔(ほうしゃせんしゅくすい)というものがあります。これは、全身または広い範囲に放射線治療を行った場合に起こる、吐き気や嘔吐、下痢などの胃腸の症状や全身の倦怠感のことです。一般的には放射線治療では1回2Gy(グレイ)照射することが多いのですが、この放射線量の場合には約50%の方に起こるといわれ、比較的早い時間に起こります。
症状は、徐々に改善することが多いです。しかし、吐き気が長引く場合や脱水症状が見られる場合は、主治医または放射線治療医により吐き気止めの薬や点滴で水分を補うことが必要です。

皮膚炎

放射線治療の急性期の副作用の代表的なものの一つが皮膚炎です。
皮膚炎は、照射する場所の皮膚にかゆみや赤み、乾燥などがでます。
皮膚炎の症状を軽くするためには、保湿などのケアを行ったり、ゴシゴシ擦ったりしないようにすることが重要です。放射線治療医から保湿剤、場合によってはステロイド軟膏などを処方されることが多いですので、治療中は指示通りに使っていくことが大切です。

喉の痛み

放射線治療が頭頸部に行われた場合、のどの痛みや飲み込みにくさが生じることがあります。軽い痛みであれば、氷を含む、冷たい飲み物を摂ることで一時的に症状を和らげることができます。しかし、痛みがひどい場合や飲み込みに関して困難が生じた場合は、耳鼻咽喉科の受診が必要です。放射線治療を受けている病院の耳鼻咽喉科で相談することが最善の対応です。

脱毛

放射線治療が頭部に行われると、治療している部位の毛髪が脱毛する可能性があります。この症状は一般的に一時的なもので、治療終了後には毛髪が再生することが多いです。しかし、場合によっては永久的な脱毛となることもあります。
脱毛に対して特別な処置は必要ありませんが、心理的なサポートが必要な場合は、精神科やカウンセリングのサポートを受けることを検討していきます。

放射線肺臓炎

放射線肺臓炎(ほうしゃせんはいぞうえん)は、胸部への放射線治療後に起こる可能性のある深刻な副作用です。
放射線肺臓炎は、症状がなく、CTなどでわかる場合もあります。しかし、中には呼吸困難、咳、痰の増加、発熱などが現れることがあります。これらの症状が現れた場合、迅速に医師の診察を受けることが重要です。
放射線治療を行っている病院の呼吸器内科や放射線科に連絡し、緊急性を評価してもらう必要があります。息切れや咳などの症状がある場合、治療にはステロイド薬が使用されます。また、重症の場合には酸素療法が必要となることもあります。

「放射線治療ができない人」についてよくある質問

ここまで放射線治療ができない人の特徴を紹介しました。ここでは「放射線治療ができない人」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

放射線治療が効かない疾患はあるのでしょうか?

木村 香菜(医師)

放射線治療はさまざまながんに対して効果を発揮する治療法です。しかし、中には放射線治療が効きにくいとされるがんもあります。
例えば、悪性黒色腫(あくせいこくしょくしゅ)や、筋肉などの組織から発生する肉腫(にくしゅ)などは放射線治療が効きにくいとされています。
しかし、免疫チェックポイント阻害薬といった新しい薬や、放射線治療の方法の工夫によって治療効果が高まっているという報告があります。

放射線治療のデメリットについて教えてください。

木村 香菜(医師)

放射線治療のデメリットとしては、以下の3点があります。
1.がんの種類によっては、放射線治療の効きやすさに差があること
2.治療に要する期間が1〜2ヶ月と長期になる場合が多いこと
3.放射線を当てることで障害が出ると予想される臓器ががんの近くにある場合、がんを治療するために十分な放射線量を当てることができないこと
こうしたデメリットを改善するために、骨転移などによる痛みなどに関する治療の場合には1回の照射で放射線治療を終わらせることも考慮されます。また、IMRT(Intensity modulated radiation therapy:強度変調放射線治療)などによる高精度放射線治療や、重粒子線などの使用も進んできています。

放射線治療中にやってはいけないことはありますか?

木村 香菜(医師)

放射線治療中に、特に日常生活の制約はありません。しかし、放射線治療中には、皮膚にマーキングといって位置決めのためのラインを引いています。それを消さないようにしましょう。
また、治療している部位は炎症が起こりやすくなっています。そのため、ゴシゴシこすったりすることは避け、直射日光に当てないようにし、治療酢部位を締め付けるような衣服は避けましょう。

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