顎関節症について
親知らずは生えてから放置しておくことで様々なリスクに繋がりますが、抜歯した後もリスクを伴うことがあります。親知らずによる顎関節症は、親知らずを放置した際も、抜歯した後でも起きてしまう症状のひとつです。
顎関節症(がくかんせつしょう)は、顎関節や咀嚼筋(そしゃくきん)の痛み、顎関節の雑音、開口障害ないし顎運動異常を主要症候とする障害の包括的診断名で、これらの症状のうち、ひとつでも該当すれば顎関節症と診断されることが多いです。
顎関節症が発症するケース
ほとんどの親知らずは横に生えるなど、まともな位置で生えてこないため、歯並びが悪い状況を作り出します。そのため、親知らずを放置しておくと、顎が異常な動きをしてしまいます。例えば、横に飛び出した親知らずは顎を動かした際に顎の内側が歯に当たることとなり、無意識のうちに歯の当たらない方向に顎をズラして動かしてしまうのです。
この異常な動きを長期間継続することで、顎に痛みが生じ顎関節症になってしまいます。このような状況は親知らずを抜歯すれば治るはずなのですが、今度は抜歯後の痛みや違和感によって、歯みがきが疎かになったり、無理に口を開けたりすることで炎症が悪化して、筋肉が硬くなり顎関節症になってしまうケースがあります。
しかし、親知らずの抜歯後に顎関節症になる確率は高くありませんので、セルフケアが難しい場合は歯科クリニックでのケアを受けることで、顎関節症を予防することが可能です。
口腔上顎洞瘻孔について
次に上顎の親知らずを抜歯した際に起きる、偶発症のリスクについてです。口腔上顎洞瘻孔(こうくうじょうがくどうろうこう)と呼ばれる、上顎洞(副鼻腔)の空洞と口腔内が貫通する穴が開くことがあります。
元々、上顎の親知らずの根がこの上顎洞に突出している人の場合、親知らずを抜いた後に穴が貫通してしまうのです。穴が小さくて炎症も起こしていないなら、自然に塞がっていきます。穴が大きく炎症も起こしている場合には、穴を塞ぐ治療を行います。このように、親知らずは放置しても抜歯してもリスクがあるのですが、経験豊富な歯科クリニックで抜歯することで、リスクを少なくすることは可能です。
配信: 医科歯科健診コラム