DVが原因で離婚や慰謝料請求しようとする場合、「相手から暴力を振るわれた証拠」が必要となるケースがあります。
証拠がなければ相手から「暴力を振るっていない」と否定される可能性があるからです。
DVを受けたことの証拠は、ケガをした部位の写真や病院に行ったときの診断書、警察への相談記録などが有効です。
この記事ではDVを受けた際の証拠の集め方やポイントをお伝えします。
DVの証拠となるものとは
配偶者からのDV(ドメスティックバイオレンス、家庭内暴力)は、裁判で認められる「離婚理由」となり、慰謝料も請求できる可能性が高いです。
ただしそのためには証拠が必要です。
暴力を受けた証拠がない状態で離婚や慰謝料を請求しても、相手が否定する場合には、慰謝料の請求はもちろん、離婚すら難しくなってしまう可能性があります。
DVの証拠となるものには、以下のようなものがあります。
・ケガをした部位や壊れたもの、散らかった部屋などの写真、動画
・暴力を振るっているときの音声や動画
・暴力が理由でケガをした旨記載されている診断書など医療記録
・警察への相談記録
・第三者の証言
・日記やメモ
以下でそれぞれについてみていきましょう。
DVの証拠の集め方と注意点
それぞれのDVの証拠の集め方と注意点は以下のとおりです。
ケガをした部位や壊れたもの、散らかった部屋などの写真、動画
相手より暴力を振るわれてケガをしたときには、ケガの写真や動画が証拠となります。
相手が暴れて壊れた物や散らかった部屋の様子などの写真や動画もDVの証拠です。
後から見たときに「いつ何を撮影したものか」わかるように、写真には日付や内容などのメモや説明書きを添えておくようおすすめします。
暴力を振るっているときの音声や動画
相手が暴力を振るっているときの音声や動画も証拠になります。
動画を撮影するのが難しい場合も多いので、スマホやICレコーダーなどで音声を録音するとよいでしょう。
診断書など医療記録
暴力を振るわれてケガをしたら、すぐに病院へ行って診察を受けましょう。
診察を受けて診断が出ると、診断書が作成されます。
医師の作成した診断書は重要なDVの証拠となります。
「加療見込み2週間」など、治療見込期間がわかるものを作成してもらいましょう。
注意点
医師にはケガの原因を正しく伝えなければなりません。
暴力を受けたことを隠そうとして「階段から落ちた」「転倒した」などと嘘をついてしまう方もいますが、それではDVの証拠にならない可能性が高まります。
またケガが小さくても、病院には行くべきです。
「このくらいのケガなら病院に行く必要はない」と思って放置してしまうと、証拠が残りません。
病院で医療費を支払った際の診療報酬明細書や薬を処方された場合の薬代の領収証、薬の説明書なども保管しておきましょう。
警察や公的機関への相談記録
DVを受けたら、警察やDVセンター、女性センターなどの公的機関へ相談してください。
警察や公的機関へ相談すると、相談記録が残ります。
DVの証拠になるだけではなく、保護命令の申立時にも「警察や公的機関への相談」の事実が一つの要件とされており、相談のない場合には、公証役場で作成される「宣誓供述書」の提出が必要です。
身の安全を確保するためにも、早めに公的機関へ相談するのが重要です。
第三者の証言
友人や知人、家族などの第三者の証言がDVの証拠になる可能性もあります。
証言内容は「陳述書」にまとめます。
証言者が知り得た内容をまとめて日付を記入し、署名押印してもらえば陳述書が完成します。
暴力が振るわれた日時や場所、振るった暴力の内容やケガの状態などをできるだけ細かく書いてもらうようにしましょう。
日記やメモ
被害者本人が書いた日記やメモも証拠になり得ます。
ただし日記の証明力を高めるためには、継続的かつ詳細に暴力の内容を記載する必要があります。
頻繁に暴力を受けているなら、その都度詳細に日記をつけるのがよいでしょう。
また、暴力の内容については詳しく特定すべきです。
以下の内容を意識してみてください。
日記で明らかにすべき事項
・暴力が振るわれた日時、場所
・暴力が振るわれた期間(1時間,3時間など)
具体的な暴力の内容
写真や動画、診断書などの他の証拠がある場合には、それらとの整合性があると証明力がより高まります。