―連載「沼の話を聞いてみた」―
化学物質過敏症を患ったことから、さまざまな健康法をわたり歩いている女性がいる。
はじめはその筋で有名な病院の専門外来の戸を叩いたものの、医師が勧める高額なサプリを断ったことから激昂され、医療への拒否感が高まったという経緯がある。なんとか診断書をもらい休職にこぎつけてからは、病院を頼らず、民間療法を自分で調べて実践することに決めたという。
そんな体験を語ってくれたのは、40代の林田ナオさん(仮名)。アーティスティックな雰囲気が印象的で、つらかったであろう体験をユーモラスに話してくれた。
快適!丸刈りライフ
筆者が「アーティスティック」と感じたのは、ナオさんの大胆な行動にもあるだろうか。
ナオさんは診断書を手に入れて休職するとまず、毛髪をすべてそり落としたという。
体調の悪化で髪が重くうっとうしくなったことに加え、シンプルな原料の石けんひとつで全身洗えるのがいいと判断したからだ。
「一切の添加物が入ってないというアレッポの石けんを買い、外出して帰宅したらすぐに頭からつま先までしっかりと洗うことを習慣としました。何が入っているかわからないから、スキンケアは一切なし。髪を乾かす手間もなく、すぐに布団に飛び込める。めっちゃ快適でしたよ」
皮膚に味噌を塗る?!あらゆる療法を試した
さまざまな健康法に関する本も読み漁り、とある断食法に出会い感銘を受けた。
「その本の教えに従い、一定期間食べない断食に加え、体に味噌を塗って毒出しする療法なんかも試しましたね。その断食法に役立つグッズを売っているネットショップもあって、不調の原因になる体の歪(ゆが)みを正すための、かまぼこ型の木の枕を買って寝たり。
毒出しの効果はよくわかりません。体がかゆくなり、肌荒れしたのは好転反応(※)……と思い込んでいました」
(※治療によって体が改善に向かう中で、一時的に悪化した状態になる体の反応のこと。東洋医学で用いられる概念で、標準治療では用いられない。悪質な健康食品や美容サービスで健康被害が発生した際に利用されがちな言葉として、厚生労働省などからも「鵜呑みにしないよう」注意喚起されている)
隣は何をする人ぞ。聞いてみないとわからない、超プライベートな姿である。
しかしそうした療法が肌に刺激となったのか、今度はアトピーも発症してしまった。ナオさんの見解では「正しい味噌じゃなかったからなのかもしれない」という話だが、正しい味噌とは何だろうか。
次は、自然農法の農作物だけを食べるように心がけた。
化学物質過敏症についての情報発信や講演、相談会なども行っている、自然系食品販売会社が販売していたので、ここで売られているものなら信頼できそうだと、ナオさんは期待に胸をふくらませた。
配信: 女子SPA!