●鳥を飼っていなければオウム病は安心…とは限らない
鳥から感染するということは、鳥を飼っていなければ安心なのではないかと思いきや、過去には川崎市の社会福祉施設の入所者12名がオウム病に集団感染するという事例もありました。きっかけとなったのは、換気扇の外側にあったハトの巣。鳥類が自宅のバルコニーなどに巣をつくってしまったという事例はよく耳にするから、思い当たるフシがある人は注意が必要です。
●人獣共通感染症「ズノーシス」の種類を知っておこう
こうした人も動物も罹る感染症のことを、人畜共通感染症(ズノーシス)とも呼びます。今回はオウム病が話題となってしまいましたが、例えば他にもズノーシスはこんなにたくさん。
◆狂犬病…これは多くの人が聞いたことがあると思いますが、犬以外にもすべての哺乳類に感染するウイルス性感染症。日本では40年近く発生がない。
◆エキノコックス症…エキノコックスというサナダムシの仲間の卵が体内に入ることによって肝臓で増殖。放置すると9割が死に至るという恐ろしい病気。ネズミが感染し、そのネズミを捕食した犬やキツネから感染し…。キツネが野生に現れる地域では湧き水に注意が必要。
◆トキソプラズマ症…トキソプラズマという原虫によって引き起こされる感染症。リンパの腫れや筋肉痛、発熱などの症状があらわれる。猫から人へ感染するケースや、感染したヤギや羊、豚、牛などを食したことで感染することもある。
◆猫ひっかき病…バルトネラと呼ばれる細菌によって感染する。感染したノミがいる猫に引っかかれることでリンパ節が炎症。頭痛や発熱など、風邪に近い症状になる。
最近は動物も流行していますが、かわいいからといってむやみやたらに触るのはご注意を。特に、野生や野良の動物は様々な感染症を保有している可能性大。触ったらしっかりと手洗いをして、未然に被害を防ぎましょう。
(文・動物坂ゆみ/考務店)