「文句を言うこと自体がわりと好き」な人も…!?
【画像】「は? なんで『ごめん』の一言が言えないの?(怒)」 これが「素直に謝れない人」の心理状態4パターンです!
顧客による悪質なクレームや理不尽な言いがかり、不当要求などを指す「カスタマーハラスメント」、いわゆる「カスハラ」が社会問題化していますが、クレーム対応の現場のみならず、会社、家族、友人…あなたの身近なところにも「文句を言う人」は少なからずいるのではないでしょうか。不満や苦情といったネガティブな内容が含まれる文句は、聞かされる側からすれば全くもって気持ちのいいものではありません。しかし中には、「文句を言わないと気が済まない」人や、「正直、文句を言うこと自体がわりと好き」という人も一定数存在します。
ネット上でも「文句しか言わない人、話してて本当に疲れる」「接客の現場にいると『この人ただ文句言いたいだけじゃん』って思う人もいる」といった声が聞かれる「文句を言いたがる人」。どんな心理によるものなのか、心理カウンセラーの小日向るり子さんが解説します。
「防衛機制」が関係
そもそも「文句を言いたい心理」とはどういうものなのか――。これは精神医学者のフロイトが提唱した「防衛機制」という心理的メカニズムで解釈することができます。
防衛機制には、「逃避」「同一化」「抑制」「退行」「反動形成」「投影」「昇華」などがあります。例えば、次のようなケースにおいて、それぞれの防衛機制が働いている場合があるといえます。
・クレーマー……「逃避」
(現状が苦しいため、他のものに心的エネルギーを注いで現状を回避すること)
・同意を求めてくるタイプの文句……「同一化」
(自分一人では不安なので、自分以外のものと自分が融合した一体感を持とうとすること)
・職場の人の文句ばかり言う人……「投影」
(自分の欠点を正視することに耐えられないため、自分以外のものに責任を転嫁すること)
ただし、防衛機制にはクレーマー心理のようなネガティブなものだけでなく、「昇華」のように現実原則を承認しつつ、欲求を発散するものもあるので、防衛機制自体が“悪”ということではありません。
「文句は防衛である」と先述しましたが、意識としては、文句を言うことによって「防衛できた」というより「スッキリした」と感じる人の方が多いのではないでしょうか。
なぜ「スッキリした」と感じるのか。ここを掘り下げると、自分以外のものに責任を転嫁して心の負荷が軽くなったことによるものや、自分を正当化できたり、他者からの賛同が得られたりしたことによる安心感など、自己防衛が成功したことによって「心を守ることができた」という安堵(あんど)の心理から生じる感覚である、といえるのではないかと思います。
「文句が多い人」になりやすいのはどんな人?
あなたの身近にも、「いつも文句ばかり言っている人」「文句をただ言いたいだけの人」「文句を言うのが好きな人」がいるかもしれません。こうした心理状態や考え方は、なぜ形成されるのでしょうか。
防衛機制は、欲望を抑制するために常に働いており、その抑制をどのように発散させるかの方法は、無意識に選択されることが多いです。つまり、文句ばかり言っている人や、文句が好きだと開き直っている人は、抑制された欲望を発散する方法として、無意識に「文句」を選択していることが多いのです。
防衛機制にはネガティブなものだけでなく、ユーモアへの変換・有意義な社会活動など「昇華」としてポジティブに変換することもできます。しかし、これらを選択するためには、物事をじっくり考えたり、道徳的な価値観を醸成したりすることが必要で、それらは面倒くさいことです。
そうした意味では、成育歴や環境の中で、忍耐力や深い思考力を鍛えることをしてこなかった人が、「文句が多い人」になりやすいといえるでしょう。
ところで、文句は会話だけでなく文章でも伝えられますが、「会話で聞く方が疲れる」という人は多いと思います。これには、「文章と違って自分勝手に中断することができない」という性質以外に、「言葉=音である」ことが関係しています。
音は物の振動によって空気が揺れ動き、それが耳に伝わるもの。つまり“エネルギーを持つストレス(刺激)”です。エネルギーがポジティブなものであれば、やる気につながりますが、ネガティブなものばかりであれば負荷となってしまいます。
配信: オトナンサー