イタリアの町を訪れると、「地下ツアー」の宣伝をよく目にします。
歴史を誇るイタリアは、古い町の上に新しい町が建設されるケースが多く、かつての「地上」が現在は「地下」になっているわけです。
その「地下」の様子を見学できるのが、地下ツアー。
真夏でも涼しいため、夏のバカンス中に参加するイタリア人もよく目にします。
ルネサンスの町、シエナには初期キリスト教会のクリプタが地下に残っています。
ドゥオモが建設される前に使用されていた礼拝堂で、1999年に地下から発見された遺構です。
薄暗い地下にぼんやりと浮かび上がるかつてのフレスコ画。遠近法もまだ使用されていない、とても平面的な宗教画が残っています。
とても稚拙な技術なのですが、壁いっぱいに描かれた宗教画には、中世の人たちの真摯な信仰を感じることができます。
シエナは大変な繁栄を誇った町ですが、1348年に大流行した黒死病によって、人口の半分以上が死亡したと伝えられています。
そのために経済は停滞し、建設中の教会や建物が完成せずに終わったという痕跡も残ります。
過去に生きた人々の苦悩や息遣いが、史跡の中に残っているかのようです。
配信: ワウネタ海外生活
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