2024年5月10日の午後22時30分頃のこと。福岡県早良区の飯倉公園でランニングしていたある人が、園内の支柱のそばから動かないワンちゃんの姿を目にしました。
近寄ると、細い靴紐のようなもので年老いたガリガリに痩せたワンちゃんが支柱に繋がれており、身動きが取れない様子。
この方は当初「こんな細い紐で繋いで、ワンちゃんが逃げ出したらマズいだろう」と、しばらくワンちゃんのそばで、飼い主が戻ってくるのを待ち続けました。
しかし、1時間以上待っても飼い主らしき人は現れません。気温も下がり始めたところで、どうすべきかを警察に連絡し相談しました。すると、予想だにしない返答がありました。
「そのまま置いて置いてください」と警察
「ワンちゃんが紐でくくり付けられているということは、勝手に連れ去ると『窃盗』になります。そのまま置いておいてください」
確かに法律上では犬猫は「モノ」。それを前提に勝手に持ち出せば、法律上では「窃盗」になることでしょう。しかし、このワンちゃんが自力で紐をほどき、そのまま車道にでも出れば事故に遇う可能性があります。
この方はワンちゃんの前でしばし考えを巡らせ、ネットであれこれと検索。そこで地元のボランティアチーム・わんにゃんレスキューはぴねすの存在を知り、その携帯番号に電話しました。
そこで出たのがはぴねすの代表・中村さんでした。中村さんは電話に出たとき、たまたま出先からの帰り道。飯倉公園もよく知っていたため、すぐに駆けつけました。
「拾得物」として保護することに
これまでに多くの犬猫の命を救ってきた中村さんは、繋がれたワンちゃんの様子を見て「意図的に棄てられた」と直感しました。
そして、警察で言われた話も聞きました。経験上、こういった話を何度も見聞きしている中村さんでしたが、しかし、この場で法律云々で片付けられることではありません。
「身動きも取れずに寒さ厳しい真夜中の公共公園に、繋がれた老犬を助けることが『窃盗』という不条理は納得できない」「『モノ』だと言うなら『拾得物』として保護する」と、迷わずこの老犬を連れて帰ることにしました。
中村さんはここまで寄り添ってくれた方に深くお礼を言い、この方も保護の快諾を受け、安心した表情で帰っていきました。
配信: 女子SPA!